ティツィアーナ・ドゥカーティの素晴らしい歌声
2017年10月20日、紀尾井ホールでティツィアーナ・ドゥカーティ、オペラ・コンサートを聴いた。共演はバリトンの井上雅人、ピアノ伴奏は山口研生。全体的にとても良い演奏だった。
曲目は前半に「サンソンとデリラ」、「ハムレット」、「ルチア」などからのアリア、後半には「トスカ」のハイライト。山口によるピアノ・ソロ曲も演奏された。
ドゥカーティは、音程のしっかりした伸びのある声で見事。井上も日本人離れしたしっかりした声。二人の二重唱も聴きごたえがあった。二人の声はしばしば会場内に響き渡った。素晴らしい歌手たちだと思う。
ただ、実を言うと、以前にドゥカーティの歌を聴いた時、もっと素晴らしいと思い、もっともっと感動したのだった。今回は少し欲求不満に終わった。
もちろん、素晴らしい歌声、しっかりした歌唱。素材としては素晴らしい。だが、あれほど素晴らしいドゥカーティの声を十分に堪能できなかった。
私はプログラムに不満を覚えた。前半の曲目に一貫性がなく、どのような理念でプログラムを組み立てているのかよくわからなかった。フランスものを組みあわせているのかと思うと、最後にはドニゼッティになった。後半は「トスカ」で統一されていたが、ハイライトとしてもドゥカーティを味わうにも中途半端だった。もっともっと堪能したかったのだが、それができずに終わりになってしまった。しっかりした理念に基づき、歌手のよさを発揮できるような曲目を選び、最後の感動させるように演出してこそ素晴らしいコンサートになると思うが、それが欠けているために、せっかくの素晴らしい演奏家がその素晴らしさを示せずに終わったように思った。
それにしても、ドゥカーティの声は美しい。音程も歌いまわしも実にいい。素晴らしい歌手だと思う。近いうち、理想的なコンサートを聴きたいものだ。
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コメント
ご来場いただきましてありがとうございました。
プログラムに関してのご意見、とても重要なご意見として受け止めております。
打ち合わせで、何度も何度も組み直したのですが、それが結果として様々な状況を考えすぎ、まとまりに欠けていたのだと思います。
僕自身もティツィアーナの歌は本当に素晴らしいと思いますし、もっともっと、彼女の良さが活きる活動の場が広がるべきだと思っております。
投稿: 井上 | 2017年10月22日 (日) 07時34分
井上様
井上雅人さんですか! 昨日は素晴らしい声を聴かせていただきました。ありがとうございました。お疲れ様でした。私の勝手な感想にコメントをいただき、恐縮です。
ドゥカーティさんも井上さんも、もっともっと輝けるような曲があり、曲順があり、演出があるはずだとずっと思って聴いておりました。演奏家の皆さんがそれぞれ気を遣いすぎて、自ら地味なものにしてしまっているように感じ、実に残念に思ったのでした。
とはいえ、井上さんの存在を知ったことも、私としましては収穫の一つでした。今後もどうか素晴らしい歌を聴かせていただきたいと思います。
投稿: 樋口裕一 | 2017年10月22日 (日) 21時34分