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新国立劇場「神々の黄昏」最終日 初日以上の凄さ!

 20171017日、新国立劇場で「神々の黄昏」をみた。今回のプロダクションは初日(101日)にみたので、これが二度目。初日以上に、今回は素晴らしかった。

 第一幕の時点では、初日のほうがよかったのではないかと思った。オーケストラのミスは今回のほうがずっと少なかったが、厚みや緊密性が欠ける気がした。また、ペトラ・ラングの声が十分に出ていなかった。音程も不安定でかなり苦しげだった。が、ラングは徐々に回復。オーケストラも第二幕以降は厚みが増し、うねりだし、徐々にワーグナーの音になっていった。グールドも気品ある声が豊かに響き、ラングは強靭な声で表現力豊かに歌った。

 第三幕は第二幕以上に圧巻だった。もちろん、ところどころにミスはあったが、全体的には世界最高レベルだと思った。ラングとグールドの二人があまりに圧倒的。バイロイトのこれまでの最高レベルの人たちに匹敵すると思う。私が生で聞いたジークフリート歌手の中では、グールドはルネ・コロに劣らないと思う。ブリュンヒルデ歌手の中では、ラングは私が生で聴いたリゲンツァ、グィネス・ジョーンズ、ポラスキ、ヴォイト、テオリン、ワトソンに勝るのではないか。このレベルの二人が歌うのははなかなかないことだと思う。

 そして、日本人歌手たちも素晴らしい。脇役だとはいえ、主役に匹敵する歌をしっかりと歌っている。日本人歌手たちが新国立的情が世界トップレベルにいることを証明している。

 カーテンコールで、ラングに対して激しくブーイングしている人がいた。私には理解できないことだ。どこをどのように否定的にとらえるのか、ラング以上のブリュンヒルデをだれに求めるのか、私としては大いに気になった。

 ともあれ、素晴らしい上演だった。新国立劇場史上でもまれにみる名演だと思う。これほどの上演をしてくれるなら、わざわざバイロイトまで行って意味不明の演出のついた上演を見る必要はないと思った。

 スリランカから16日に戻ったばかり。夕方、自宅に到着。その翌日の「神々の黄昏」なので体調面で少々不安があったが、これほどの上演では、眠気を感じることもなく、体調の異変もなく、ともあれ最後まで感動してみることができた。

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コメント

樋口先生、毎度拝見しております。

ラングにブーを飛ばした人は、おそらく表現より圧倒的な音量を求める人なのでしょう。レコードでヴァルナイやニルソンを大音量で聴いてそうなタイプかと想像します。もともとラングはオルトルートを得意としていることからも分かるように、性格派です。

私はラングやマイヤーのような性格派が好きなので、今回は最高でした。

最終日は、またも読響が大咆哮していましたね。あそこまで、マッシブかつアグレシッブな演奏は初台では初めてのことではないでしょうか。特にラインへの旅や葬送行進曲のテンポ感、重量感は大巨匠の指揮でした。

投稿: ねこまる | 2017年10月21日 (土) 22時34分

ねこまる 様
コメント、ありがとうございます。
ラングの表現力には圧倒されます。まさしく性格派ですね。もちろん、私もニルソンやヴァルナイの録音を感動しながら繰り返し聴いてきましたが、ラングにはそれに引けを取らない説得力があると思います。色気があって可愛らしくて、聖性をなくしたことを嘆き、嫉妬と呪いに狂い、最後にはすべてを受け入れる・・・という心の変遷をこれほど繊細に、そして強靭に描いたブリュンヒルデはほかにいないように思います。

投稿: 樋口裕一 | 2017年10月22日 (日) 09時04分

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