インドネシア旅行 その3 旅のまとめ
昨日(2017年11月21日)、無事、インドネシアから帰国。
インドネシア旅行は、ともあれ満足だった。
ほんの数日間の、しかも一人だけの客だったとはいえ、基本的にツアー旅行なので、詳しく現地を理解できたわけでも観察できたわけでもない。表面だけしか見ていない。その視点から、気づいたことを記す。
ブータンやスリランカほどではないが、ここにも野良犬がかなり多く見られた。車道にも野良犬がまよいこんでいた。ブータンやスリランカでは、犬に出会うと車はそっとよけて、犬を轢かないように誰もが細心の注意を払っていたが、インドネシアではそんなことはない。私の乗った車は、道端に寝ている犬の上を車で通りすぎたりもした。もちろん、上を通過するのだから、犬を轢くわけではないが、安全ともいえない。轢かれた犬らしい跡を路上にいくつも見た。仏教国と、イスラム・ヒンドゥー地域の違いか。
ベトナムほどではないが、オートバイが多い。オートバイは125CCの、それなりの値段のするものが大半。二人乗り、三人乗りも多い。次々と割り込んできて、きわめて危険。オートバイのマナーはよくない。が、その割には、車の運転マナーは悪くない。信号機が少ない。混雑する道路も信号がない。それなりに、なんとか機能しているのが不思議だ。阿吽の呼吸で、割りこんだり、逆に道を譲ったりしている。フィリピンなどでは大混乱だったが、そうなっていないのは見事だと思う。
笑い声やくしゃみの音も国によって異なる。ある種の学習によってその民族特有の笑い声やくしゃみの音を習得していくのだと思う。これまで、どの国に来ても、「あ、ここの人の笑い声は、やはり日本人とは違うな」と思ってきた。ところが、インドネシアに来て、「あ、この笑い声は、日本人だ」と思って振り返ると、現地の人だということが何度かあった。インドネシア語圏(ただし、スワヒリ語、ジャワ語、バリ語はかなり異なるらしいので、もしかするとそれらの言語のうちのいずれかかもしれない)の笑い方は日本人に似ている!
今回の旅の最大の目的はボロブドゥール寺院だった。素晴らしかったが、思ったよりも狭かった。アンコールワットのような広大な敷地で、一日では見切れないほどかと思っていたら、1時間余りでほぼ全体を見ることができた。しかし、日本とは異なる仏教の形を見ることができた。
ジョグジャカルタの裏町は、まさしく途上国の趣きがあった。安っぽい商品を並べた小さな道が並び、ごみが散乱し、腐敗臭の漂うところもあった。そこに貧しそうな人々が集まって生活している。道路は舗装されているが、あちこちで水たまりができており、インフラの不備が感じられる。しかし、人間の活力が感じられ、そこに生きる人の生命が感じられる。
観光客が接する限りでは、物価はそれほど安くない。万単位のために、すべてが大雑把な値段設定になり、端数を切り上げた感じ。何でもかんでも「10万」と要求される。
バリ島には、海辺を中心としたリゾート地と、島内部の伝統的で宗教的な地域でかなりの雰囲気の違いがありそう。リゾート部分は、海があり、サーフィンや泳ぎを楽しむ人々が世界からやってきている。高級ホテルがあり、きれいなビーチがあり、ディスコがあり、西洋人がラフな服装で歩き回る。同時に、大都市でもあり、多くの人が常に行き来し、人々が密集し、夜中も騒ぐ人たちがいて、道路は常に大渋滞をしている。それに対して、島の内部は静かで、緑が多く、伝統にあふれ、宗教的な生活をしている。もちろん、私は伝統的な部分に大いに惹かれた。
ペンジョールと呼ばれる竹の飾りが多くの家の前に立てられている。日本のお盆のような時期に立てられるものだという。宗教が息づいているのを感じる。
バリ島、特に私の泊まったホテルの近くはコンビニが異様に多かった。ミニマート、サークルK、アルファ・マートなどが並んでいる。多いところには100メートルおきくらいにこれらがある。私の泊まったホテルの出口から右に100メートルほど行ったところにも、左に100メートルほど行ったところにもミニマートがあった。いずれの店もごく小さい。すべてが日本の最も狭いコンビニくらいの大きさ。飲み物、スナック菓子、日用品が並んでいる。それほどに観光客が多いということか。
タトゥーを入れた人が多い。現地の人にも多いし、西洋人にも多い。タトゥーを入れる店も多い。あちこちに看板がある。ここの売り物の産業の一つなのだろう。
鼻歌を歌う人が多い。考えてみると、このごろ日本では、道路で鼻歌を歌う人を見かけなくなったが、とりわけバリでは何人にも出会った。鼻歌を歌いながら歩いている。あけっぴろげというべきか。
とても親切な人が多いと思った。デンパサールの中心街で雨宿りしている時に、タクシー乗り場を尋ねたら、そこにいた多くの人が、あれこれと相談してくれた。そして、その中の一人がスマホでタクシーを予約してくれたのだった。その人は私のために何度もスマホをいじり、運転手に連絡を取り、車が来てからも雨の中、一緒に来てくれてあれこれと説明してくれた。40歳前後の男性だった。あちこちのお店の人たちもとても丁寧で親切だった。日本のようなマニュアル通りの丁寧さではなく、親身になってくれる。これも一つの文化だと思った。
ともあれ、私はバリ島のヒンドゥー教に強く惹かれた。インドやマレーシアでみたヒンドゥー寺院と違って、もっとずっと厳かで壮麗。インドやマレーシアでは聖なるものが宿っているとは少しも感じなかったが、ここでは聖なるものを感じる。バリは聖なる島だと思った。
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コメント
今回も興味深い旅行記をありがとうございました。スリランカもモンゴルもブータンも、どれも興味深く読ませていただきましたが、今回も興味深く、毎回カルチャーショックを受けています。アジアの広さ、多様さ、ヴァイタリティを感じます。
投稿: eno | 2017年11月24日 (金) 14時43分
eno 様
コメント、ありがとうございます。表面しか見ていない旅行印象記ですので、人様に読んでもらうのも恥ずかしさを感じます。
ブログを拝見しました。「アッシジの聖フランチェスコ」は、海外での初演が話題になったころから、私もずっと関心を抱いておりました。インドネシア旅行と重なって、みることができませんでした。とても良い演奏だったようで、聴けなかったことを少々残念に思いました。
投稿: 樋口裕一 | 2017年11月26日 (日) 08時13分