三枝成彰作曲、林真理子台本のオペラ「狂おしき真夏の一日」 ついに日本は世界的な傑作オペラを生み出した!
2017年10月31日、東京文化会館で、三枝成彰作曲、林真理子台本のオペラ「狂おしき真夏の一日」をみた。素晴らしかった。本当に素晴らしかった。私は興奮している。
これまでの三枝オペラ、「忠臣蔵」も「悲嘆」も素晴らしかったが、今作はそれを上回る傑作だと思う。ついに、世界に誇る日本のオペラが誕生したと思った。「フィガロの結婚」や「椿姫」や「アイーダ」などとともに世界のレパートリーに入っても不思議はないほどの傑作だ。
「フィガロの結婚」と「ファルスタッフ」を合わせたようなストーリー。そこに「ばらの騎士」や「アラベラ」のような雰囲気が加わる。3組のカップル(中年夫婦、その息子とフランス女性、もう一人の息子とゲイの相手)が愛し合ったり、誤解したり、仲直りしたり。そして、最後、それぞれが愛を深める。
林真理子の台本が実によくできている。「フィガロの結婚」「ファルスタッフ」へのオマージュもピタリとはまっている。あえて卑俗な言葉を使いながらも、徐々に詩情を高めていく。3組の話を手際よく展開させ、誰もが楽しめる喜劇を作り上げ、最後には感動させる。見事。
そして、その台本を最高レベルにいかした三枝の作曲が素晴らしい。第一幕もよかったが、私は第二幕の軽妙な音楽に心が躍った。とてつもなく複雑な音符。だが、いわゆる「現代音楽」ではなく、親しみやすく感動的な調性音楽。技巧を極めていながら、それを感じさせない。そして、第3幕のドタバタの部分も軽妙で深みがあり、しかも、官能的。第四幕幕切れの「世界はいいように回っている」の9重唱は圧巻。「ファルスタッフ」の最後を意識していると思うが、それ以上に感動的。世界を肯定する音楽だと思う。「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」や「マイスタージンガー」などの重唱に匹敵する素晴らしい音楽だ。心が震えた。涙が出てきた。秋元康による演出もしゃれていて、楽しく、しかも最後は感動を盛り上げる。
演奏も素晴らしかった。まずは、大友直人指揮による新日本フィルハーモニー交響楽団が見事はアンサンブルを聞かせてくれた。歌手たちもいい。私はとりわけ、大石太郎のジョン・健・ヌッツォの声に聞きほれた。そのほか、大石恭一の大島幾雄、陽子の佐藤しのぶ、エミコの小林沙羅、フミエの坂本朱も見事な美しい声で、とてもよかった。ユウキを歌ったカウンターテナーの村松稔之のしっかりした声も見事だった。フランシーヌの小川里美、大石次郎の大山大輔、リサの小村知帆ももちろん見事。まさに粒ぞろい。
合唱は六本木男声合唱団ZIG-ZAG。これはちょっと音程の怪しいところがあったが、アマチュアなので、ご愛嬌というところだろう。
それにしても、日本の才能を結集すれば、これほどのオペラが作れるのだということを改めて認識した。間違いなく、このオペラは世界のレパートリーとして定着するだろう。定着させなければいけないと思う。ついに、日本はこれほどのオペラを生み出したのだから、それを世界に発信する必要があると私は思う。
今もまだ私は日本がついに大傑作オペラをうみだしたことに興奮している。
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