« ネルソンス+ボストン ショスタコーヴィチの凄まじさ | トップページ | ダムラウ 当代随一の声の美しさ »

日生劇場「ルサルカ」 素晴らしかった!

2017119日、日生劇場でドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」をみた。素晴らしかった。日本のオペラ界の充実は目を見張るほどだ。

歌手全員がそろっている。その中でも、やはりルサルカの田崎尚美が圧倒的だと思った。澄んだ声で音程もよく、声量も十分。容姿も見事。悩めるルサルカを見事に演じて見せてくれた。そのほか、イェジババの清水華澄がよく通る声で、得体の知れない魔女役を魅力的に聴かせてくれた。森番のデニス・ビシュニャも料理人の少年の小泉詠子も申し分ない。リズム感が良く、道化役をうまく演じている。三人の森の精(盛田麻央・郷家暁子・金子美香)もとてもよかった。このオペラを冒頭からレベルの高い上演にしたのは、この三人の功績といってもおいいだろう。

 王子の樋口達哉もとてもよかったが、私としては、ちょっとイタリアオペラ風すぎる気がした。私は王子にもう少し違うイメージを持っている。もっと孤独な王子の姿を描いてもよかったのではないかと思う。ヴォドニクの清水那由太も太い見事な声。外国の公女の腰越満美も妖艶で素晴らしい。狩人の新海康仁も文句なし。

 そして、それ以上に驚いたのは、指揮の山田和樹の力量だった。私の席からは山田の指揮ぶりがはっきり見えたが、わかりやすい指示をだし、的確に表情をつけていくのに畏れ入った。オーケストラ曲の語り口のうまさはよく知っているが、オペラまでもこれほどドラマティックに、そして抒情的に描き切るとは! 読売日本交響楽団も素晴らしかった。これほどオーケストラがいいと、安心してドラマに浸れる。演出は宮城聰。簡素な舞台で、特に目新しい解釈は感じないが、妖精の世界の神秘を十分に出している。東京混声合唱団の合唱も取れもきれいだった。

 ただ、「ルサルカ」をみるたびに思うのだが、私はまだ子の台本も音楽もよくわからない。納得できないところがたくさんある。もっとも不思議に思うのは、ルサルカの有名なアリアも、その後の歌も、そしてヴォドニクのアリアも、とても雰囲気が似ていることだ。メロディ線も似ている。そして、王子のキャラクターも外国の公女の位置づけも明確でない気がする。そのため、全体がぼやけてしまう。もちろん、とても美しい音楽だと思うし、私はこのオペラが大好きで、上演されるごとにみているのだが、それでも謎が残ったままだ。

 ともあれ、日本人中心のキャストでこれだけのレベルのオペラが上演できるようになっていること、そして山田和樹がオペラまでの素晴らしい指揮をしてくれることを確認して、今日は大変満足だった。

|

« ネルソンス+ボストン ショスタコーヴィチの凄まじさ | トップページ | ダムラウ 当代随一の声の美しさ »

音楽」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/532807/66024019

この記事へのトラックバック一覧です: 日生劇場「ルサルカ」 素晴らしかった!:

« ネルソンス+ボストン ショスタコーヴィチの凄まじさ | トップページ | ダムラウ 当代随一の声の美しさ »