東京二期会オペラ劇場「こうもり」 見事な声と演技
2017年11月23日、日生劇場で、ベルリン・コーミッシェ・オーパーとの提携による東京二期会公演「こうもり」をみた。
指揮は阪哲朗、演出はアンドレアス・ホモキ。管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団、合唱は二期会合唱団。
とてもおもしろかった。とても楽しかった。堪能した。
まず、演出がおもしろいし、美しい。すべてがファルケの仕掛けという設定になっている。オルロフスキーもファルケの仕立てた女優だということがしばしばほのめかされる。第一幕から最後まで舞台の変更なしだが、むしろ自然に感じる。色遣いも美しく、舞台は豪華な雰囲気が出ている。
歌手たちもそろっている。しかも、みんな実に芸達者。とりわけ、アイゼンシュタインの又吉秀樹のあまりのうまさにびっくり。途方に暮れる様子などを、実に生き生きと演じ、歌ってくれる。ロザリンデの嘉目真木子も美しい声と見事な演技。容姿も美しくロザリンデにふさわしい。オルロフスキーの和田朝妃もこの不可解な役柄を素晴らしい声で歌ってのけた。アデーレの三井清夏も美しい声と可憐な演技。ただ、オケと合わないことが何度かあったのが気になった。フランクの杉浦隆大もアルフレードの吉田連も、ファルケの小林啓倫もブリントの大川信之もすばらしい。文句なし。
フロッシュを演じたのはイッセー尾形。アドリブを多く混ぜ、センスのいい笑いをふんだんにみせてくれた。この人がいなかったら、この舞台はかなり違ったものになったかもしれない。私は、故・坂上二郎さんや桂ざこばさんがこの役を演じるのを見たことがある。今回は一味違って、ちょっと下品でありながら、ちょっと知的だった。
日本人が「こうもり」を演じると、往々にして田舎くさくなり、しゃれた雰囲気がなくなる。それなのに、今回、最高レベルの上演になったのは、ホモキの演出の力もあるかもしれない。客席から笑いが途切れなかった。
ただ、私は阪哲朗の指揮については、もっと躍動的であってほしいと思った。あまりに安全運転で、しかも歌手と合わないところがあった。もしかしたら、練習の時間が取れなかったなどの事情があるのかもしれない。きっと、このキャストによる2度目の上演では改善されていると思う。
とはいえ、満足。このところの日本のオペラ界の発展を本当に頼もしく思う。「こうもり」をこれほどのレベルで上演できるなんて、少し前まで考えられなかったことだ。
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コメント
こんにちわ、樋口さんの小論文指導を検討してるものです。
白藍塾の慶応国立コースは初心者でもついていけますか?それとも事前にプレ受験コースを受けるべきでしょうか?
またその2つのコースと東進で樋口さんが担当してるハイレベル小論文基本編・慶大対策小論文(2017ver)との共通点や相違点(取り扱ってる問題など)について詳しく教えてください。
投稿: もり | 2017年11月30日 (木) 11時04分
もり 様
コメントありがとうございます。そして、私の小論文講座を検討してくださっているとのこと、ありがとうございます。
白藍塾も東進ハイスクールも、ともに受講生の小論文の力をつけるためにできるだけの努力をしたつもりです。ただ、それぞれ通信添削と映像授業という違いがあります。大変申し訳ありませんが、私の立場ではそれ以上のことを申し上げることはできません。それぞれ資料を取り寄せて、検討していただきますようお願いします。お役に立てませんが、ご容赦ください。
投稿: 樋口裕一 | 2017年12月 1日 (金) 00時32分