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ゲッツェル+読響の第九 4つの楽章のまとまりを考えた名演

20171223日、東京芸術劇場で読売日本交響楽団による第九演奏を聴いた。指揮はサッシャ・ゲッツェル。エマニュエル・クリヴィヌが振るというので楽しみにしていたのだが、指揮者変更。しかし、もちろんゲッツェルの第九もぜひ聴いてみたいと思って、足を運んだ。

とてもいい演奏だった。ゲッツェルの指揮は自然で理にかなっていると思った。中庸のテンポで、おとなしめの音量。大袈裟な表現はない。無理やり煽るところもない。しかし、しっかりと音楽を作っていく。読響もさすがというべきか、美しい音を出す。

初めのうちはもう少しスケール大きく演奏してもよいのではないかと思った。だが、徐々に納得。この第九は第3楽章までと第4楽章の音楽性があまりに異なるために、どうしても不自然になる。おそらくゲッツェルは、それを見越して、全体で不自然にならない音楽を作ろうとしているのだろう。そのために、前半はやや抑え気味。じわりじわりと第4楽章に向けて少しずつ盛り上がっていく。

第3楽章はあっと驚くような美しい音で始まった。読響の実力が発揮される。しっかりと音楽を作って説得力がある。まさしく天国的。そして、第4楽章。バリトンが入るまでの導入がとりわけ見事だった。私はこの部分にどうしても不自然さを感じることが多いのだが、今日の演奏ではそれを感じなかった。見事に第123楽章と連結されて第4楽章に入ったのを感じた。

独唱が加わってからもとても素晴らしかった。祝祭感が高まっていく。とりわけ、ソプラノのインガー・ダム=イェンセンのテノールのドミニク・ヴォルティヒがよかった。さすが外国勢。もちろん清水華澄と妻屋秀和も健闘。

そして、何よりも際立っていたのが、三澤洋史の合唱指揮による新国立劇場合唱団。声が出ているし、音程がいいし、アンサンブルが素晴らしい。合唱の出来でこれほどまでに音楽が違って聞こえるのかと改めて感嘆した。最後は圧倒的だった。4つの楽章がしっかりとまとまりのあるものに聞こえた。なかなかの名演だと思う。

1217日には、アンドレーエ指揮、新日フィルの第九に退屈したが、今日は、第九の素晴らしさを堪能。満足できた。

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音楽」カテゴリの記事

コメント

第九マニア(オタク?)の樋口先生へコメントはお恥ずかしいのですが、私はゲッツェル+読響・20日サントリー、24日みなとみらいの両日参りました。本当に楽しい第九でした。

特に第3楽章のAdagioCantabileでは、ゲッツェルさんのヴァイオリニスト魂が炸裂、エアヴァイオリンのような指揮、それにニコニコ答えるコンマス長原さんとストリングスチームにワクワクうっとりいたしました。第3楽章は、サントリーでは昨今の第九に比べるとかなりゆっくりしたテンポだったと思います。全体のバランスとしてどうかとまで感想が言えないのですが、私はとにかくこれまでになく第九のAdagioCantabileを堪能しました。

テンポは最終日のみなとみらいではそれに比べるとだいぶ早め。私はどの演奏も時間を測って記録する習慣があるのですが(意味もなく)、全体の長さも、サントリーは72,3分、みなとみらいでは67,8分と5分も違いがありました。どちらが好きかというと、最終日のせいかみなとみらいのユニゾンの引き締まり感というかダイナミックレンジも全体の集中力が半端なく!横浜まで行った甲斐がありました。

終演後にサインをねだりに行ってマエストロに聞いたのですが、対向配置はゲッツェルさんの意向とのことです。読響は定期で毎年6回も第九があり、急遽駆けつけて6回第九を振られたマエストロゲッツェルに心からブラボーを贈りたいです。

投稿: Tamaki | 2017年12月29日 (金) 21時15分

Tamaki 様
コメント、ありがとうございます。
5分の違いは大きいですね! それにしても、ゲッツェルは素晴らしい指揮者だと思いました。以前、神奈川フィルでブルックナーを聴いて、とても良かった記憶があるのですが、また是非聴いてみたいと思っています。

投稿: 樋口裕一 | 2017年12月30日 (土) 00時32分

年明け1月9日すぐにN響オーチャードニューイヤーに客演で来日です!おそらく先生のお好みではないプログラムだと思いますが。。。新世界を振られます。コンマスはどなたかな?楽しみです!
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/nkyo/17_18/97.html

投稿: Tamaki | 2017年12月31日 (日) 00時35分

↑日付間違えました。1/7(日)のマチネーです。

投稿: Tamaki | 2017年12月31日 (日) 14時22分

Tamaki 様
コメント、ありがとうございます。
いえいえ、ヨハン・シュトラウスもドヴォルザークも好きな作曲家です。CD、DVDの枚数でいうと、この二人の作曲家あわせて我が家には300枚くらいはあると思います。森麻季さんも、これまで何度か実演を聴いています。大好きな歌手です。ただ、その日、母の誕生祝いをする予定ですので、聴くことができず、あきらめたのでした。

投稿: 樋口裕一 | 2018年1月 2日 (火) 22時03分

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