飯田みち代 ソプラノ・リサイタルを堪能
2017年12月8日、王子ホールで飯田みち代 ソプラノ・リサイタルを聴いた。とても良かった。飯田さんの表現力にも感服。しばしば感動した。ゲストの彌勒忠史(カウンターテナー)の力にも圧倒された。ピアノは前田佳世子。
飯田さんとは何度かお仕事をご一緒したことがある。私が飯田さんのコンサートを企画し司会をした。多摩大学のゼミのコンサートをお願いしたこともある。「ダメ元」でお願いしてみたら、快く引き受けてくださった。私は最初に飯田さんの歌を聴いた時からの大ファンだ。とりわけ、ラフマニノフの「ヴォカリーズ」はまだ耳に残っている。芸術大賞をとった「メデア」のタイトルロールの素晴らしさも昨日のことのように覚えている。そして、今回、もう一つ上のレベルに達したことを実感した。
ほとんどはバロックの曲。カッチーニの「アマリッリ」「愛の神よ、何を待っているのですか」、ヴィヴァルディの歌劇「ポントの女王アルシリダ」より「私はジャスミン」など。飯田さんの声と表現力はロマン派にこそ発揮されると思っていたのだが、バロック曲を清澄でありながらもダイナミックに歌って、みごとに表現していた。清澄さの中に凄みを宿らせ、それを徐々に展開していく。こんなことを言うとあまりに僭越だが、飯田さんはバロックを深めることによって、ますます深い表現力を身に着けたと思った。彌勒さんとのデュオによる『ポッペアの戴冠』より「ただあなたを見つめ」はとりわけ素晴らしかった。
が、やはり、わたしは飯田さんのロマンティックな歌唱が好きだ。『ジャンニ・スキッキ』の「私のお父さん」もよかったし、ギュスターヴ・シャルパンティエの『ルイーズ』の「その日から」はまさしく圧巻。バロック曲で少し抑制してきた飯田さんの持ち味を全開! 私はワーグナーに反応するように、飯田さんの歌に反応する。時々ゾクッと魂が震える。私の心の奥にある「琴線」をかき乱される。後半の『セヴィリアの理髪師』の「今の歌声は」も素晴らしかった。
そして、彌勒さんの太いカウンターテナーによる「オンブラ・マイ・フ」にもしびれた。彌勒さんの声を聴くのは初めてではないが、こうしてソロやデュオを間近で聴くと、改めて音程の良さ、声の太さに圧倒される。
バッハのロ短調ミサのデュオも素晴らしかった。最後は、ヘンデルの『リナルド』から「私を泣かせてください」、そして、アンコールは「きよしこの夜」。堪能した。
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