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デュトワ+N響のみなとみらい公演 しなやかでクリアな演奏に心惹かれた

 20171216日、みなとみらいホールでNHK交響楽団横浜定期演奏会を聴いた。シャルル・デュトワ指揮、前半はハイドンの交響曲第85番「女王」と、ソプラノのアンナ・プロハスカが加わって細川俊夫の「ソプラノとオーケストラのための『嘆き』」、後半はメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」。

 ハイドンはしなやかでクリアな音で自然に音楽を作って見事。ただ、近年の古楽器による勢いのある演奏に慣れてしまった耳からすると、あまりにおとなしく、あまりに予定調和の世界であって、少々退屈してしまった。

 細川俊夫の名前はもちろんずっと前から知っていたが、実際に曲を聴いたのは初めてだった。現代曲をほとんど聴かないのでドシロウトの感想で恥ずかしいが、ともかくすごい曲だと思った。まったく退屈することなく、「難解だ」とも思うことなく、音の作り出す世界に圧倒されるばかりだった。プロハスカも素晴らしかった。声も美しく、張りがあり、この難解な曲を、私にわかる限りでは完璧に歌いこなしている。シェーンベルクの「期待」よりももっと心を揺り動かされた。遅ればせながら、細川俊夫ってすごい作曲家だったんだと思った! N響も素晴らしい演奏。実にクリアで、音の輪郭が明確。

「スコットランド」は私の大好きな曲だ。デュトワのこの曲を聴くのが今回のコンサートの目的だった。

期待通りの明晰で透明な音による演奏で、構成が明確で、論理的に音楽が展開していく。とりわけ、第2楽章は素晴らしかった。デュトワの本領発揮といえるのではないか。音の積み重ねが実に美しく、勢いがあり、生命力がある。ただ、私としては第3楽章が少し緊張感が不足しているように思った。ハイドンのような精緻でしなやかな音であってほしかったのだが、少し狙いがぼやけた気がする。が、第4楽章で再び勢いを盛り返して、大きく盛り上がって全体を締めくくった。

全体的にとても素晴らしい演奏だったし、すべての楽章を心の底から楽しんだが、大感動したかというと、それほどでもなかった。客が少なかった(三分の二くらいの入りだったのではないか。空席が目立った)せいかもしれないが、演奏家たちがノリノリで演奏しているようには見えなかった。

 現代曲を基本的に聞かない私であるにもかかわらず、今日のコンサートでもっとも感動したのは細川の「嘆き」だったかもしれない。

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