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エッシェンバッハ+N響の第九 私には感動をもたらさなかった

20171227日、サントリーホールで、クリストフ・エッシェンバッハ指揮、NHK交響楽団によるベートーヴェンの交響曲第9番のコンサートを聴いた。その前に、勝山雅世のオルガンによってバッハの曲が4曲演奏された。ただ、勝山はバッハ演奏に定評のある人らしいが、オルガン曲をほとんど聴かない私としては、正直に言って良さがよくわからなかった。

第九についても、実は私はあまり納得できなかった。エッシェンバッハは、しっかりとオーケストラをコントロールし、しばしば「矯め」をつくって激しく、鋭く音楽を作ろうとしていた。私はそのような音楽は決して嫌いではない。だが、少なくとも第1楽章と第4楽章については、エッシェンバッハの工夫がことごとく私の感動に結び付かなかった。単に私のツボにはまらないだけかもしれないが、なんだかちぐはぐな感じがする。第2楽章については、私はとても良い演奏だと思って、かなりうきうきしたのだったが、第3楽章になると、大野+都響に比べて、音の精密さに不足を感じた。第4楽章の歌が入る前の部分については、あまりに無造作。もう少し丁寧に音楽を構築しないと、第3楽章までと第4楽章の接合がうまくいかないと思うのだが、エッシェンバッハは何の工夫もないように、私には思えた。

第4楽章のバリトン独唱が入った後については、とても良い演奏だったと思う。歌手(市原愛・加納悦子・福井敬・甲斐栄次郎)もそろっていたし、東京オペラシンガーズの合唱もよかった(ただ、少し合唱の声がオケに比べて大きすぎるように思った)。しかし、私には昨日の大野+都響の圧倒的な高揚感には及ばないように思えた。

エッシェンバッハは好きな指揮者の一人だ。だが、第九に関しては、期待ほどではなかった。もちろん、良い演奏だと思うし、N響は十分に実力を発揮していると思うが、もっと爆発的な感動を期待していた。ちょっと残念。

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コメント

樋口さん

16型倍管というカラヤン・朝比奈の木霊が聴こえるような重量級の第九でした。ただ、ちぐはぐというのはまさしくその通りだと思います。全体として、ひとつの流れがない。ドラマがない。

オペラシンガーズも粗く、一体どうしたのかと驚きました。合唱指揮者の田中さんのせいだと思っています。メータの時は良かったので。

残ったのはN響の硬質な響き。久々に「古き良き時代の」N響の響きがしていました。

投稿: ねこまる | 2017年12月28日 (木) 11時45分

ねこまる様
コメント、ありがとうございます。
そうですね。私がエッシェンバッハの指揮に感じたのも、まさしく「全体として、一つの流れがない。ドラマがない」ということでした。部分的には熱が入っているものの、全体的に何がしたいのかよくわからない演奏だと思いました。「エッシェンバッハは、第九があまり好きではないんだろうな」と思って聴いていました。
オペラシンガーズについては、ただ異様に音量が大きいと思ったのでしたが、そうですね。確かに粗かったのかもしれません。

投稿: 樋口裕一 | 2017年12月30日 (土) 00時23分

管理人さまとねこまるさまのご意見の「ひとつの流れがない」になるほどなあ!と納得。そうか、このモヤモヤ感は。。。でも迫力すごかった、と思ってます。ソリストは男声はよかったですが女声があまり上手くないなあと思って聞きました。わたくしの周りも大方そんな意見でした。

投稿: もりたん | 2018年1月 7日 (日) 14時03分

もりたん 様
コメント、ありがとうございます。録画しておいたテレビ放送でソリストの歌を聴き返してみました。私はソリストは全員、日本人歌手としてはかなり健闘していると思うのですが、確かにおっしゃる通り、男声のほうが安定していますね。それにしても、第九のソロは大変難しいのだということを、聴くごとに感じます。

投稿: 樋口裕一 | 2018年1月 8日 (月) 18時53分

こんばんは。
先生の著書を愛読させていただいております。
初めてコメントさせていただきます。

12/22の演奏はTVで聴いて、全体的になかなか良いと思いましたが
ソプラノが明らかに絶叫しているのが残念無念でした。

映像作品では、やはりバーンスタイン&ウィーン・フィルのDVDが好きです。
特に合唱が入る寸前に合唱団が一斉に立ち上がるのが、迫力を感じます。

どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

投稿: 影の王子 | 2018年1月13日 (土) 23時32分

影の王子 様
コメントありがとうございます。
拙著を愛読くださっているとのことにも感謝申し上げます。
確かに、N響の第九のソプラノは、昨年末の私の聴いた第九の中ではもっとも弱かったかもしれませんね。が、実演で聴いていて、特に良いとは思いませんでしたが、特によくないとも思いませんでした。
実はバーンスタインは好きな指揮者ではないのですが、もちろんいくつも素晴らしい録音はありますね。第九もその一つだと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2018年1月15日 (月) 22時47分

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