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ミンコフスキ+レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルのメンデルスゾーンを堪能した

2018年2月27日、東京オペラシティコンサートホールで、マルク・ミンコフスキ指揮によるレ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏を聴いた。曲目は、すべてメンデルスゾーン。前半に「フィンガルの洞窟」序曲と交響曲第4番「イタリア」。後半に交響曲第3番「スコットランド」。メンデルスゾーンは大好きな作曲家なので、これを聞き逃すわけにはいかない。

ミンコフスキらしいきびきびしてリズミカルな演奏。かなり速めのテンポで、音楽を強力に推進させていく。だが、決して一本調子ではなく、メロディに豊かな表情がある。レ・ミュジシャン・デュ・リーヴルの音も弾力性があって実にいい。メンデルスゾーンにはもっと潤いがほしいと思うが、古楽器なので、少々ガサガサした感じになるのは致し方ないだろう。「イタリア」の第1楽章と第4楽章は見事。生命力にあふれ、喜びにあふれている。豊かな感受性を古典的な形式の中に表現するメンデルスゾーンらしさが広がった。

「スコットランド」は大好きな曲だ。とりわけ、私は第2楽章が大好き。今日の演奏も素晴らしかった。ぞくぞくするような躍動感。深い陰影があり、メンデルスゾーンの躍動感とともに、深い憂いも聞き取れる。しかし、第4楽章では生命力を大きく歌い上げる。賛歌のような音楽になっていく。

じっくり聞かせるというタイプではない。あっけないくらいに早く終わる。だが、このガサガサした速い速度の中に様々な表情があって、実にいい。妙な思い入れでロマンティックに表現するのでなく、勢いの中に様々な感情をひっくるめてしまう。

ミンコフスキはさっさと指揮台に立ち、すぐに演奏をはじめた。前半の演奏が終わった後も、ぐずぐずしないですぐに控室に戻る。終演後も、アンコールもしないで、数回呼び戻されただけでオケを解散させた。音楽と同じように何事ももったいぶったり、未練がましくしたりしないで、テキパキとこなす人のようだ。何を隠そう、実は私もぐずぐずするのが嫌いで、さっさと済ませてしまうタイプだ。仕事も早いし、人との交際もさっさと切り上げる。そんなわけでミンコフスキのテキパキした態度にはとても好感を持ったのだった。

とても満足できるコンサートだった。大好きなメンデルスゾーンを堪能できた。

 

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