METライブビューイング「ラ・ボエーム」2018 さすがMET!
東銀座の東劇でMETライブビューイング「ラ・ボエーム」(2017-18シーズン)をみた。素晴らしい上演だった。プッチーニを大の苦手とする私が見ても納得できる見事さだった。
演出はこれまで何度も映像化されてきたフランコ・ゼフィレッリのもの。いまさらながらに、その規模の大きさ、その圧倒的なリアリティに驚く。第二幕の二階建てのパリの街の再現など、まさに本物の持つ存在感。コンピュータを使ったデジタル映像ではこうはいかない。
今回は、昔のパヴァロッティやドミンゴやミレッラ・フレーニのような傑出した大歌手はいないが、そうであるがゆえに、むしろとてもまとまりがとてもいい。ミミのソニア・ヨンチェヴァ、ロドルフォのマイケル・ファビアーノ、ムゼッタのスザンナ・フィリップス、マルチェッロのルーカス・ミーチャムがまさしく役柄そのものになり切ったかのよう。パヴァロッティ級の大スターが登場すると、ロドルフォが歌っているというよりも、パヴァロッティがロドルフォを歌っているのを承知で見ることになるが、ファビアーノが歌うと、ロドルフォその人が歌っているかのように感じられる。
ショナールのアレクセイ・ラブロフ、コルリーネのマシュー・ローズも役柄にぴったり。さすがMET。しかも、ラブロフはMETの新人発掘プログラムの研修によって能力を開発した歌手とのこと。こうして次々と名歌手が生まれてくるシステムに驚く。
指揮はマルコ・アルミリエート。かなり手堅い演奏だと思う。しっかりとプッチーニの抒情を聴かせる。一つの演出が時代を通して、その劇場の歴史そのものになり、大きな売り物になっている。そこに登場するすべての人が、スターも、そうでない人も完璧にその役割を演じる。劇場の伝統とはこのようなものなのだろう。
といいつつ、やはり私はどう聴いても、プッチーニの甘いオーケストレーションに違和感を抱き続ける。最終幕、感動的な場面なのだが、私はオーケストレーションが気になって感動に心をゆだねることができない。どうやら、私はプッチーニに感動できない体質のようだ。
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