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ブロムシュテット「幻想」 音楽美にあふれ、律動にあふれた演奏に感動

 2018414日、NHKホールでヘルベルト・ブロムシュテット指揮、NHK交響楽団による定期演奏会を聴いた。曲目は前半にベルワルト作曲の交響曲第3番「風変わりな交響曲」(ブロムシュテット校訂版)、後半にベルリオーズの「幻想交響曲」。

 ベルワルトは1796年生まれの作曲家。シューベルトと同じくらいの生まれだ。今からすると、さほど「風変わり」ということもないが、確かにシューベルトの時代にこのような曲を作ったとすると、確かに先進的だろう。あれこれ不思議な工夫がある。楽器のつながりが妙だったり、ユーモラスなリズムだったり。ただ、やはりそれ以上に、「ちぐはぐ」という感じがして、古典派好きの私としてはついていけなかった。

 後半の「幻想」は素晴らしい演奏だった。ブロムシュテットは90歳のはず。驚くべき若さ。音楽も生命力にあふれ、まったく緊張感が途切れない。

きわめて正攻法の演奏だと思う。先日のインバル+都響のような「妖しい幻想」ではない。かといって、ベルリオーズ的な何でもありの燃え上がる大仰な幻想でもない。もっとずっと気品にあふれ、音楽美にあふれ、律動にあふれた演奏。精妙な音、激しい音、強い音のバランスが見事。冒頭や第五楽章の始まりなど、得も言われぬ美しさを出すNHK交響楽団の見事さも特筆するべきだろう。コンサートマスターがライナー・キュッヒルだということも関係があるかもしれない。

 とりわけ、第45楽章に盛り上がりは素晴らしかった。純音楽的な盛り上がりといってよいのではないか。もしかすると、何かブロムシュテットの意図があるのかもしれないが、私としては、インバルの指揮で聴く時のように、「この楽器、このメロディで何を表現しているか」をあまり気にしなかった。インバルでは、あれこれと意味ありげな音がするので、どうしても考えてしまう。が、ブロムシュテットの音楽は、何を表現しているにせよ、音が美しく、音の連なりが感動的で、音の爆発が素晴らしかった。すべての音に緊張感があふれており、生命にあふれている。音自体に感動する。

 特に何かを工夫しているようには見えないのだが、最高の音楽が作られていく。まさしく名人の音楽だと思った。

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