映画「女は二度決断する」 衝撃的なラストだが・・・
「そして、私たちは愛に帰る」や「消えた声が、その名を呼ぶ」を監督したトルコ系ドイツ人ファティ・アキンの新作映画「女は二度決断する」をみた。前の2作が衝撃的だったので、今回も期待してみた。期待を裏切らない衝撃作だった。
新作のストーリーを書くと、「ネタバレ」ということになるだろうからくわしくは書かない。トルコ系の男性と結婚したドイツ女性カティヤ(ダイアン・クルーガー)。ところが、夫と息子がネオナチによるテロで殺されてしまう。カティヤは爆弾を仕掛けた女性を目撃していたこともあって容疑者はしばらくして特定される。だが、・・・・。
アキン監督はこれまでもトルコ系ドイツ人の置かれた状況をたびたび描いてきた。今回はまさしく真正面からその問題を取り上げている。小細工もせず、複雑な状況を絡めることもなく、シンプルに怒りと悲しみ、そして復讐心を描く。観客はカティヤとともに被告夫婦に憤慨し、その弁護人や偽の証言をするギリシャ人に憤慨する。カティヤの復讐心、最後の決断も十分に理解できる。私は夢中になって最後まで見た。そして、最後、カティヤの行動に衝撃を受けた。
ただ、やはりアキン監督にしてはシンプルすぎる。深刻な問題であるだけに、アキン監督は余計なものを描きたくなかったのだと思うが、もう少し社会情勢を描くなり、トルコ系住民の心の奥を描くなりしてほしい。私はこの作品は、「そして、私たちは愛に帰る」や「消えた声が、その名を呼ぶ」には及ばないと思った。
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