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カンブルラン+読響のベートーヴェン7番 何度か感動が身体を走った

 201847日、東京芸術劇場でシルヴァン・カンブルラン指揮による読売日本交響楽団のコンサートを聴いた。曲目は前半に、ラモー作曲の歌劇「ダルダニュス」組曲からと、佐藤俊介のヴァイオリンが加わって、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」、後半にベートーヴェンの交響曲第7番。「生と死の舞踏」をテーマにしたコンサートの一環。とても良かった。

 ラモーの曲もなかなかおもしろかった。古楽奏法を取り入れているのだと思う。メリハリがあり、きびきびした中にも歌があり、舞踏があって、良い雰囲気。ただ、この時代の音楽のさしたる興味のない私としては、特に言うべきことを持たない。

 モーツァルトの協奏曲の佐藤俊介のヴァイオリンも素晴らしかった。肩の力を抜いた、いわゆる「草書」的な弾き方を時折織り交ぜる。それがとても魅力的に響く。力んで音楽に立ち向かうのでなく、軽やかに、まさしく舞踏的に。しかし、もちろん雑な感じにはならない。むしろ天国的な音に聞こえる部分もある。カンブルランもそれに合わせて、見事にオーケストラを操る。読響もそれにうまくついていく。がっちりと合わせたというよりも、少し即興的な雰囲気がある。それがこの曲にぴったりと合っている。

 佐藤さんには10年以上前、私が多摩大学で働いていたころ、多摩大学創設25周年コンサートに菊池洋子さんとともに演奏をお願いしたことがある。その時も素晴らしい演奏に圧倒されたが、今回、以前よりもずっと表現の幅が広がっているのがきけて、とてもうれしく思った。

 後半の交響曲第7番は圧巻だった。とはいえ、これも力んでダイナミックに演奏するわけではない。むしろ、細身で、無駄なものはすべてはぎ取ったかのように音楽が進んでいく。先日、千葉で聴いたバッティストーニ+東フィルのダイナミックで豊穣な、まるでオペラのような第7とは正反対の演奏。もっと厳しく、もっと論理的。テンポを動かすわけでもなく、タメを作るわけでもなく、早めのテンポできわめて論理的に音楽を構築していく。しかし、そこに本質的な音のドラマが作られていく。ものすごい力感。読響も実に美しい音を出している。特に第4楽章で何度か感動が身体を走った。

 カンブルランの指揮はとてもわかりやすい。観客にも、どのような音楽を作りたいのかとても良く理解できる。そして、確かにその通りの音が出てくる。舞踏にあふれ、リズムにあふれ、生気にあふれた音楽。

 モーツァルトもベートーヴェンももっと盛り上がっていいと思ったのだが、今日の観客はかなりおとなしかった。私は大変満足した。

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