今年のラ・フォル・ジュルネに出演するラルス・フォークトのこと
ラルス・フォークト。
もちろん、ピアニストとしての名前は知っていた。このフォークトが今年のラ・フォル・ジュルネでロイヤル・ノーザン・シンフォニアを指揮し、いくつかのピアノ協奏曲で「弾き振り」することが予定されているというので、久しぶりにサイモン・ラトル指揮、バーミンガム市立交響楽団によるベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番、第2番(この2枚組CDにはグレン・グールドによるカデンツァのついた第1番が含まれる!)を聴きかえしてみた。
驚くほどの素晴らしさ! ラトルもいいが、フォークトの若々しくて鮮明でダイナミックなピアノが素晴らしい。
私はオーケストラ好き、弦楽器好き、声楽好きであって、ピアノはあまり聴かない。その私がフォークトの自在でダイナミックでしかも自然なピアノに痺れた。恥ずかしながら、ロイヤル・ノーザン・シンフォニアを弾き振りしているベートーヴェンのピアノ協奏曲集のCDが発売されていることを初めて知って、まず第2番と第4番が収録されている1枚を聴いてみた。すごいのなんの!
アクセントが強く、切れがよくて、バリバリ弾いて音楽を推進していくタイプのピアノなのだが、抒情性も豊かでふくらみがあって、音の一つ一つの粒だちが最高に美しいので、不自然さがまったくない。オーケストラもとてもいい。ピアノについているというだけでなく、あちこちでピアノに対抗した音が出てくる。単にピアニストがピアノを弾いて、オケがそれに合わせているという音楽ではない。別に個性的な指揮者がいるかのよう。第4番の第2楽章は様々なアプローチのできる曲想だが、力強さと繊細さの入り混じったこの演奏に私は心の底から納得した。
あわててほかのCDも注文して聴いてみた。「皇帝」も素晴らしい。もしかしたら、第4番よりもこちらの方がいっそう名演かも知れない。テツラフと共演したブラームスの3つのヴァイオリン・ソナタも名演だと思う。
今年のラ・フォル・ジュルネで、フォークトとロイヤル・ノーザン・シンフォニアのコンサートがいくつも聴ける。5月3日にはベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、4日には第4番、5日にはショパンのピアノ協奏曲第1番の弾き振りを聴くことができる。また、フォークトはハイドンやモーツァルトの交響曲、そして、ショスタコーヴィチの室内交響曲作品110a(原曲はあの弦楽四重奏曲第8番!)を指揮する。これも私は大いに関心を惹かれる。間違いなく、指揮者としても一流なのだと思う。
来月開かれるラ・フォル・ジュルネが俄然楽しみになってきた!
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