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ラ・フォル・ジュルネ・東京 2018年5月3日 ラルス・フォークト指揮ロイヤル・ノーザン・シンフォニアに驚嘆

 2018年のラ・フォル・ジュルネ・東京が始まった。7つの有料コンサートを聴いたので、簡単に感想を書く。

 

 まずは今年から始まった東京芸術劇場でのコンサート。 

・アレーナ・バーエワ(vl クレール・デゼール(p ブロッホ「ニーグン」、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番、ラフマニノフ「2つのサロン風小品」から「ロマンス」 ストラヴィンスキー「妖精の口づけ」─ディヴェルティ メントから パ・ド・ドゥ

 若くてきれいな女性。素晴らしい演奏。バーエワのヴァイオリンは思い切りがいい。弓をいっぱいに使ってスケールが大きく、ダイナミック。プロコフィエフの第2楽章と第4楽章の躍動感が素晴らしい。第3楽章もしっとりしていて、これもいい。本格派の女流ヴァイオリニストだと思った。

 

 東京国際フォーラムに移動して、その後のコンサートを聴いた。

 

・アレクサンドラ・コヌノヴァ(vl マタン・ポラト(p プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番、ラヴェルのヴァイオリン・ソナタ ト長調

 コヌノヴァは若くてきれいな女性。感じのいい演奏。コヌノヴァのヴァイオリンについてはプロコフィエフの第1番第4楽章は見事だと思った。ただ、全体的に踏み込み不足を感じる。ピアノのポラトはクリアな音で明確に弾く。しかし、ともに訴える力が弱い。とりわけラヴェルについては、2人とも真面目すぎると思った。まるでNHKのアナウンサーがギャグを言っている感じ。アンコールは「夢のあとで」。

 

 ・堤剛(vc クレール・デゼール(p バルトーク「狂詩曲第1番」、ショパンのチェロ・ソナタ、マルティヌー「ロッシーニの主題による変奏曲」

私の席のせいかもしれないが、チェロとピアノの音バランスがよくない。ピアノばかりが大きく響く。しかも、メリハリがなく、ダラダラした感じ。堤さんは大好きなチェリストだし、クレール・デゼールの実力はよく知っているのだが、なぜかバラバラな感じ。リハーサルが十分できなかったのだろうか。

 

 ・ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、ラルス・フォークト(指揮) ハイドンの交響曲第103 変ホ長調「 太鼓連打」、プロコフィエフ交響曲第1番「古典交響曲」

 素晴らしい演奏。 緩急をつけ、表情をつけ、ときにユーモアたっぷりに、ときに颯爽と演奏。あれこれいじっているのだが、音楽に流れと勢いがあるので、嫌味にならない。オーケストラも素晴らしい。フォークトの指から、まるで魔法のように音楽が奏でられる。「太鼓連打」では、じっくりとハイドンをおもしろく演奏、「古典交響曲」のほうは颯爽と勢いよく。その対比もおもしろい。

 

ラケル・カマリーナ(ソプラノ)、エマニュエル・ロスフェルダー(ギター)、ヨアン・エロー(ピアノ)

ラヴェル「シェエラザード」ファリャ「7つのスペイン民謡」チャピ:サルスエラ「セベデオの娘」から カルセレーラ、ドリーブ「カディスの娘たち」

 

 カマリーナはかなり若くは魅力的な女性。ポルトガル出身だという。華奢な体型だが、強い声。音程が正確で張りがある。時々、ドスの効いた声。スペインの歌にぴったり。ピアノもギターも素晴らしい。ラヴェルもよかったが、スペイン語の歌のほうがよかった。アンコールにファドを歌ったが、これも見事。

 

・ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、ラルス・フォークト(ピアノと指揮) シベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」、ベートーヴェン、ピアノ協奏曲第5 変ホ長調 op.73「皇帝」

 素晴らしい演奏。シベリウスの曲(ほぼ弦楽合奏)の美しさには息をのんだ。そして、その後の「皇帝」も素晴らしかった。まず、フォークトの指揮に圧倒された。ピアノを生かすためのオーケストラではなく、ピアノと拮抗するオーケストラを作りだしている。勢いがあり、流れがある。ちょっと「前のめり」のリズムになるが、それも魅力だと思う。それだけでなく、抒情的でこの上なく美しい部分もある。第二楽章の冒頭のオーケストラは最高に美しかった。ピアノももちろん素晴らしい。一つ一つの音に表情がある。そして、ロイヤル・ノーザン・シンフォニアというオーケストラに驚いた。イギリスのゲイツヘッドという町の常設された室内オーケストラだという。弦の音が実にいい。本日最高のコンサートだった。

 

・エドウィン・クロスリー=マーサー(バリトン)、ヨアン・エロー(ピアノ) シューベルト:歌曲集「冬の旅」

 あまり良い演奏と思わなかった。クロスリー=マーサーの音程がずっと不安定に私には感じられた。それに、この歌手は「きれいに歌おう」という意識が強いようにおもった。そのせいで、シューベルトの苦悩が私には伝わらなかった。

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コメント

私もフォークト/ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、聴きました!
「アンダンテ・フェスティーヴォ」の美しさには、まさに息をのみました。「皇帝」は勢いのよさやピアノの音の美しさが印象的。
実は、今年のラ・フォル・ジュルネにラルス・フォークトが来ていることにはなぜか気づいていなかったのですが、樋口さんのこのブログを見て知り、あわててチケットを買い足したのです。お陰様でこんなすばらしい演奏を聴き逃さずにすみました。ありがとうございます! 

投稿: にいく | 2018年5月 4日 (金) 22時07分

にいく様
コメント、ありがとうございます。「皇帝」も、そして昨晩の第4番も素晴らしい演奏でした。昨晩などAホールがガラガラで演奏者に気の毒に思うほどでした。これほどの大物が来日しているのに、あまり知られていないようです。今日もフォークトの出番があります。指揮者として登場しますし、ショパンのコンチェルトではピアノの演奏もします。私はとても楽しみにしています。

投稿: 樋口裕一 | 2018年5月 5日 (土) 09時01分

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