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ラ・フォル・ジュルネ東京2018 5月4日(2日目) フォークトがすごい!

 201854日、ラ・フォル・ジュルネ東京2日目。今日もフォークトに最も感銘を受けた。今日、8つのコンサートを聴いたので簡単に感想をまとめる。

 

・イ・ムジチ合奏団 

リュリのバレエ音楽「愛の勝利 序曲 、ヘンデルの合奏協奏曲第1 、ボッケリーニ:ピアノ五重奏曲 ハ長調 3楽章「マドリードの通りの夜の音楽」など

 

50年ほど前に一斉を風靡したイ・ムジチ。カラヤンとともに知らない人はいなかった。バロック音楽が流行り、「バロック音楽は朝の寝起きにかけても気持ちがいい」というような不思議な言説が流行したのもイ・ムジチのせいだったかもしれない。現在も心地よいバロック音楽の演奏を続けているようだ。それはそれで一つの見識だと思う。そういう意味ではとてもいい演奏。アンコールは「四季」の「夏」の第3楽章「嵐」。見事。

 

・モディリアーニ弦楽四重奏団 

ドホナーニの弦楽四重奏曲第3 、ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12 「アメリカ」

 

素晴らしい演奏。ピタリと縦の線が合い、音程が正確で音が鮮明。精緻な演奏。ドホナーニの曲には、実はあまり馴染みはないのだが、第1楽章ではかなり感動した。現代的な面と後期ロマン派的な面が入り混じっていておもしろい。鋭さと甘美さの表情を描き出していた。「アメリカ」は第1楽章、第4楽章は予想通りの素晴らしさ。第2楽章の美しさには息をのんだ。この弦楽四重奏団を知ってかなりになる。若い弦楽四重奏団と思っていたが、彼らも深い表情を出す年齢になっていた!

 

・ロイヤル・ノーザン・シンフォニア ラルス・フォークト(指揮) 

モーツァルト「ドン・ジョヴァンニ」 序曲、 ストラヴィンスキー「弦楽のための協奏曲」、モーツァルト交響曲第38番「プラハ」

 

フォークトの指揮の見事さを堪能した。「ドン・ジョヴァンニ」序曲の強くてドラマティックな表現に始まり、表情の変化、歌わせ方などに舌を巻いた。ストラヴィンスキーの曲も弦のしなやかさを堪能できた。「プラハ」はまさしく音楽の展開をわかりやすく、しなやかに展開させた。第2楽章をゆっくり、第3楽章で音を颯爽と雄大に積み重ねて、感動的だった。オーケストラもとてもいい。とりわけ弦が素晴らしい。

 

 

・アレクサンドラ・コヌノヴァ(vl シンフォニア・ヴァルソヴィア 廖國敏( 指揮)

 ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲

 

とてもよかった。コヌノヴァの弱音が本当に美しい。ただ、やはり清純すぎ、透明すぎて、私には少し物足りない。もっと攻撃的に自己主張してほしい。指揮も自己主張しているようには聞こえないし、見えなかった。

 

・バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)、マティアス・アルゴットソン(p・ハモンドオルガン)、マックス・シュルツ(ギター)、ウルフ・エングランド(ギター、照明デザイン)

 ブルース、黒人霊歌など

 

かつて何度かヘンドリクスの実演を聴いた。実はあまり満足したことはなかった。が、最近、黒人霊歌などを歌っていると知って、気になっていた。マイクを通した声だし、クラシックの歌い方とは違うが、味のある声で神への愛を歌う。なるほどこんな世界を作り出したかったのか!と納得できた。確かにヘンドリクスのクラシックの声域でこのような世界を歌える歌はなかっただろう。

 

・ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、ジュリアン・ラクリン(vl・指揮)

 ベートーヴェン「コリオラン序曲」、シベリウス「悲しきワルツ」、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲 ホ短調

 

かつてヴァイオリ二ストとしてのラクリンは何度か聴いたが、もちろん指揮者としては初めて聴く。「コリオラン」も「悲しきワルツ」もとてもよかった。若々しく勢いのある指揮。「コリオラン」では、激しく心をえぐろうとして、オーケストラに勢いをつける。フォークトの指揮したときのロイヤル・ノーザン・シンフォニアよりもずっと若々しい。メンデルスゾーンも若々しいメンデルスゾーンが出現した。ヴァイオリンはちょっと荒っぽいが、これも一つの魅力だろう。ただ、メンデルスゾーンになると、やはり指揮がおろそかになって、まさしくヴァイオリンの伴奏になっているのを感じる。やはり、フォークトの一日の長があると思った。

 

・マレーナ・バーエワ(vl)、クルージュ・トランシルヴァニア・フィルハーモニー管弦楽団、カスパル・ゼンダー指揮。

チャイコフスキー「イタリア奇想曲」、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲。

 

バーエワのヴァイオリンは最初の音から、コルンゴルト独特の退廃的で官能的な世界に誘い込む。バーエワの容姿も服装も世紀末的というか退嬰的というか。まるでクルムトの描く女性のよう。実に魅力的な世界だと思う。私はバーエワに誘われて、この魔界に迷い込んだ。バーエワの表現力は実に見事。クルージュ・トランシルヴァニア・フィルハーモニー管弦楽団もカスパル・ゼンダーの指揮も初めて聴いた。なかなかよさそう。もっと聴いてみたいと思った。

 

 ・ロイヤル・ノーザン・シンフォニア、ラルス・フォークト(ピアノと指揮)、ウェーベルン「弦楽四重奏のための緩徐楽章」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。

素晴らしい演奏だった。ウェーベルンの曲はこのオーケストラの弦の能力を見せつけてくれた。本当に美しい。そして、ベートーヴェンは、勢いがあって推進力がありながら、要所要所で繊細でしなやかで抒情にあふれたオーケストラ。そして、ピアノも強いところもあるし、きわめて抒情的なところもある。第2楽章は男の抒情の極致だと思った。第2楽章と第3楽章では何度か私の身体に感動が走った。このすごい演奏なのに、Aホールはガラガラ。1割か2割くらいしか埋まっていなかったのではないか。あまりにもったいない。客が少ないので演奏家たちもがっかりしたと思うが、フォークトがブラームスのインテルメッツォをアンコール。素晴らしいコンサートだった。

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コメント

初めまして。
ラフォルジュルネ 今年も大盛況でしたね。
5月4日のコヌノヴァのベートーヴェン協奏曲、
この時のアンコール曲、もしご存知でしたら曲名を教えてくださいますか?

よろしくお願いいたします。

投稿: karara | 2018年5月 5日 (土) 16時55分

karara 様
コヌノヴァが「バッハ」とだけ口にして演奏した曲ですね? 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番の「サラバンド」だと思います。

投稿: 樋口裕一 | 2018年5月 5日 (土) 23時22分

ありがとうございます!
バッハ 無伴奏、ですよね、なんとも忘れがたい音で気になっていました。

コヌノヴァの演奏は一般の演奏よりも高音域の弱音が切なく、低音の和音は重く響く、、素晴らしいアンコールでした。
欲を言ってしまうと、更に響きの良いホールで再聴したい、確かにもっともっと「力強い演奏」を期待したい、そして美しい、、!
又の来日公演を楽しみにしています!

こちらの動画はコヌノヴァのサラバンドです。
独特な音ですね。
http://video.lefigaro.fr/figaro/video/alexandra-conunova-joue-la-sarabande-en-re-mineur-de-bach/5399454010001/

お返事をありがとうございました。


投稿: karara | 2018年5月 6日 (日) 01時14分

karara 様
コメント、ありがとうございます。動画も見てみました。魅力的な音、そして本当にかわいらしい容姿と仕草。ファンになってしまいますね。これから先が楽しみです。

投稿: 樋口裕一 | 2018年5月 7日 (月) 07時35分

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