METライブビューイング「ルイザ・ミラー」に圧倒された
東銀座の東劇でMETライブビューイング「ルイザ・ミラー」をみた。圧倒されっぱなしだった。
ルイザのソニア・ヨンチェヴァ、ロドルフォのピョートル・ベチャワ、父親のプラシド・ドミンゴの三人の主役がこれほどにそろっていると全体が最高潮に盛り上がる。ヨンチョヴァの透明で強い声、ベチャワの張りのある美声、ドミンゴの衰えることのない美声と演技。第三幕のこの三人の歌はとりわけ素晴らしかった。それにしても、ドミンゴの超人ぶりには驚嘆するしかない。かつてのテノールの輝きは失っているが、ルイザの父親の声としては申し分ない。死にゆく娘を見て嘆く場面では、娘を持つ父親の一人として涙ぐまざるを得なかった。
ヴルムのディミトリ・ベロセルスキーも見事な悪漢ぶり。エライジャ・モシンスキーの演出はオーソドックスでわかりやすい。第3幕にすべてを凝縮させていく手腕に驚嘆。指揮のベルトラン・ド・ビリーも、それほど個性的ではないが、見事にドラマを作り上げていく。
インタビューの中で触れられていたが、第1・2幕はドニゼッティ風。が、第3幕で「オテロ」に近づいていく。強い力が渦巻き、ドラマが凝縮し、まさしくヴェルディの世界になる。
ザルツブルクやバイロイトは何度か訪れたが、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場には行ったことがない。ライブビューイングを見る旅にこの歌劇場のしっかりした理念と世界最高の歌唱を思い知って、実際に出かけたくなる。
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