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ANCORA第5回公演ナイトメア・オブ MACBETH 生と死、虚と実の入り混じる不思議な世界

2018611日、角筈区民ホールでANCORA5回公演ナイトメア・オブ MACBETH をみた。鬼才演出家・三浦安浩の脚色・台本による「マクベス」だ。音楽監督・ピアノは村上尊志。大変レベルの高い上演だった。とても楽しんだ。

ヴェルディの「マクベス」がピアノ伴奏版で上演されるだけでなく、それに現代のドラマが加わっている。嵐の夜、ある山小屋に立ち寄った数人が不思議な小冊子を見つける。そこには「マクベス」のセリフが書かれている。それをみんなで読んでいくうち、現実と非現実が入り混じり、映画「バイオハザード」のような生と死が入り混じった世界が展開する。それが「マクベス」と交差していく・・・という趣向になっている。

主役のふたりの歌手は素晴らしかった。マクベスの清水良一は見事な声。ただお顔が温和な感じがするので、マクベスを演じるのにかなり苦労されている様子がうかがえた。しかし、声量といい声の美しさといいまさしく見事。マクベス夫人の斉藤紀子もまた強い声で見事に歌った。マクベス夫人になり切るためのメヂカラもすごい。高音もとても良かった。

そのほか、バンクォーの山田大智、マクダフの青柳素晴、マルコムの野村京右もとても魅力的な要素を持つ。そして、特筆するべきは、魔女たちのアンサンブルだろう。全員が素晴らしかった。そのほか、端役の一人一人まで、主役格の人たちと変わらない見事な歌唱だった、実にレベルの高い上演。この団体の実力と努力がよくわかる。

舞台上での全員の合唱の場面など、息がぴたりと合っていた。音も、私のわかる限りでは、大きな音程の揺れもなく見事だった。私は確かめなかったのだが、歌手たちのきっかけを示す指揮がどこかでなされていたのだろうか。指揮棒がどこにも見えないのに、歌手全員がぴたりと合うのに驚いた。

ただ、小さな劇場で聴くと、やはり歌手たちのちょっとした音程の不安定さ、そして、イタリア語の発音の不自然さ(いかにもカタカナ・イタリア語だとわかる気がする)を感じてしまう。そのあたりが日本の若手歌手たちの大きな課題かもしれない。

しかし、それにしても三浦マジック。一つの政権が純粋な意味で成り立っても、すぐにそれは権力闘争になり、人の心に闇と愛が棲みついていること、それが権力者だけでなく現代の一般人にもいえることを示して見せる。

・・・とはいえ、実は私はもともとイタリアオペラには弱く、ヴェルディの「マクベス」についても一度、ザルツブルク音楽祭(ムーティ指揮、ネトレプコ出演)で見たことがあり、DVD1枚持っている程度。内容を知悉しているわけではない。しかも、人間の顔の識別能力に難があるためもあって、イタリア語によるオペラの部分も日本語による現代劇の部分も、だれがどの役を行っているのか十分に理解しないまま見ていた。最後にはともあれ、「ああ、楽しかった。不思議な世界に入り込んだ!」という思いを作り出すところはさすがだが、細かいしぐさなど不明なところがたくさんあった。

もう一度見てみたいところなのだが、残念ながら、今日、明日ととても忙しい。

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