ムローヴァのメンデルスゾーン 感動はもたらされなかった
2018年6月10日、武蔵野市民文化会館大ホールでえヴィクトリア・ムローヴァのヴァイオリン、デイヴィッド・グレイルザマーの指揮、ジュネーヴ・カメラータの演奏を聴いた。
私の好きなヴァイオリニストの1人であるムローヴァのメンデルスゾーンを聴けると思って期待して出かけたが、一言で言ってかなり期待外れだった。
曲目は、最初にチャールズ・アイヴスの「答えのない質問」、次に、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調、後半にケレン作曲「ガーシュインの主題による変奏曲」、そして、ベートーヴェンの交響曲第8番。
ウェルザー=メスト指揮、クリーヴランド管弦楽団のベートーヴェン・チクルスを聴いた直後だったせいもあるかもしれないが、まず、オーケストラの音に大いに不満を抱いた。比べるほうが悪いとは思うのだが、それにしても、縦の線が合わないし、音程もあまりよくない。汚い音が混じることがある。とても上手な奏者が何人もいるのだが、アンサンブルとなると、うまく合わない。古楽的な奏法を取り入れているのだと思うが、それがマイナスになっている気がする。メンバーは全員がかなり若そう。まだまだこれからのオーケストラなのだろう。
指揮についてはオーケストラ以上に問題を感じた。一本調子で、拍子に強いアクセントをつける。そのため、メロディが流れないし、ガサガサした感じになってしまう。あまりに落ち着きがないし、だからといって推進力があるわけでもない。現代曲もメンデルスゾーンもベートーヴェンも同じような雰囲気だった。かなり若そうな指揮者だ。ほとんど実績がないのではなかろうか。
肝心のムローヴァだが、もちろん、オーケストラに比べると圧倒的に素晴らしい。が、なぜかこれまで何度か聴いた時のような透徹した音楽性を感じなかった。無用なものをそぎ取って、そこに残る清潔さのようなものが現れなかった。つまり、ふつうのヴァイオリニストのような音だった。もちろん、悪い演奏ではないのだが、私はもっと研ぎ澄まされた迫力のあるメンデルスゾーンが聴けるものと思っていたのだった。とはいえ、この指揮とオーケストラだったら、ヴァイオリンだけ名演奏するのも難しいだろう。
ヴァイオリンのアンコールとしてミーシャ・ムローヴ・アバドの「ブラジル」が演奏された。未知の作曲家の未知の曲。なんだかよくわからなかった。
そんなこんなで、期待していた感動を得ることができずに、雨の中を帰った。
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コメント
ミーシャって、アバドの息子?
ムローヴァはクールなイメージだったけど、普通の親バカなのかもしれないですね。
投稿: ミーハーおばさん | 2018年6月11日 (月) 13時56分
ミーハーおばさん様
コメント、ありがとうございます。
やはり、ミーシャというのは、ムローヴァとアバドの間の子どもなんですね! ゴシップに疎い私はムローヴァとアバドの関係を知らず、作曲者の名前を聴いて「もしかして」と思いながら、深く考えずにいました。ムローヴァもそれはそれでふつうのお母さんの役割を果たしているということなのでしょう。
投稿: 樋口裕一 | 2018年6月12日 (火) 23時58分