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細田守「未来のミライ」 おもしろいと思わなかった

 私はもちろんアニメ・ファンではない。テレビや国際線の機内映画でジブリ作品などの話題になっているアニメ映画を見ることはあるが、劇場でアニメを見たことは、少なくともこの10年以上ないと思う。たまたま時間つぶしのために入った博多駅の駅ビル(AMU)で時間的に都合のよいこの映画を見ただけだった。

「サマーウォーズ」「おおかみこどもの雨と雪」「バケモンの子」はとてもおもしろかったが、それらと比べてもかなり完成度が低いと思った。特に退屈しないで最後まで見たが、最後までおもしろいとは思わなかった。

 妹が生まれて、お兄ちゃんになったばかりの4歳のくんちゃん。妹・ミライばかりかまう両親や祖父母に怒りを感じる。怒りが爆発するごとに時空が乱れて過去や未来の世界につながって、昔の母やひいじいじが現れる。赤ん坊のミライも少女の姿で現れる。妹に嫉妬していたくんちゃんも、現在の生活が過去や未来の家族の生とつながっていることに気付いていく。

 私はまず、ここにまとめたような数行で言い切ってしまえるようなテーマのシンプルさに不満を抱いた。あまりにテーマが単純。しかも、生まれたばかりの赤ん坊に嫉妬するというテーマもありふれている。テーマだけでなく、嫉妬する具体的な出来事もありきたり。幼い子どもはもっと違ったところで嫉妬するのではないかと何度も思った。少なくとも、そのような場面を出してくれないと、見ているものとしてはリアリティを感じない。

 また、不自然さもあちこちに感じた。まず、4歳という設定のくんちゃんが大人びた口調でかなり理路整然と語るのも不自然。自分の感情をコントロールできずに理不尽に甘えるくんちゃんなのだから、これほど大人びた言葉を使えないだろう。また、ひな人形を仕舞うのが遅れると婚期が遅れるのを恐れて未来のミライが現れるという設定も、私にはリアリティが感じられない。細田監督は、ひな人形という家族に代々受け継がれるものを象徴的に出したかったのだろうが、「婚期が遅れる」などというつまらない迷信を真に受けてわざわざこんなキャラクターの少女が未来からやってくるだろうか。

人間の姿になって語る愛犬もひねりがなく、あまりに当たり前すぎるし、ひな人形をしまおうとあわてる場面のくんちゃん、ミライちゃん、愛犬の行動にも納得がいかなかった。「だるまさんが転んだ」を使ってドタバタっぽくしたかったのだろうが、それぞれの人物にそのような行動をとる必然性がないので、私には少しもおもしろいと感じられない。映画の冒頭で違和感を覚えると、ずっと尾を引いて、最後までリアリティを感じられなくなってしまう。

 で、結局、「妹が生まれて、かまわれなくなって怒っていたくんちゃんも、家族に支えられていたことに気付いて、ちょっとお兄ちゃんになりました」というわかりきった話を、ありふれたエピソードをむりやりファンタジーっぽくして語っただけの話になってしまったように思った。

 最後のクレジットで有名な俳優さんが声優を務めていたことを知った。不覚にも、私は一人も気づかなかった。

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