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日田の祇園祭 見事な祭り しかし観光客は少ない

 2018年7月20日に大分県日田市に入った。21日と22日に行われる祇園祭見物が目的だ。日田祇園祭は、500年ほど前に悪疫鎮護のために始められ、2016年に全国の33の団体とともにユネスコ無形文化遺産に登録されている。昨年は九州豪雨の影響で開催されなかったので、今回、登録後初めての開催だ。

 日田市は私の故郷だ。祖父母はそこに住み続け、一時期日田から離れていた両親も、その後、住むようになったが、私自身は5歳でこの地を離れて以来、時々訪れるだけになっている。そのためもあって、祇園祭の存在は知っていたが、見物した記憶がない。両親が高齢になって日田から離れ、その後、父が亡くなり、母も東京の施設で暮らすようになって、私と日田のつながりは少し残った所有地だけになってしまった。そんなとき、クラブツーリズムの日田の祇園祭を見るツアーを見つけた。「日田祇園祭を見たい」と思った。とはいえ自分の故郷なのにツアーで行くのもしゃくだ。日田には親戚も多い。そんなわけでひとりで祇園祭を見に来たのだった。


7月20日

 午後、福岡空港におりてバスで日田に向かった。空港から出た時の福岡の気温、そしてバスから降りた時の日田の気温はパキスタン並みだと思った。先月、パキスタンで数日過ごしてその暑さに閉口したが、それに匹敵する暑さ。が、バスから降りて、腰痛肩こりを感じたので、ホテルに入る前に目の前にあるマッサージ店でマッサージを受けるうち、一雨あったようで、店を出た時にはかなり涼しくなっていた。それでも34度くらいはあったようだ。日本人も34度で涼しいと感じるようになったことに改めて驚く。

昔ながらの街並みの見える景観地区である豆田までタクシーでいき、有名店でウナギと鮎を食べた。土用の丑の日でもあり、祇園祭の前日でもあるので、ここも大賑わいだと思っていたら、がらがら。テイクアウトのウナギのかば焼きなどを受け取りに来る人は数人いたが、客は5、6人。祇園祭を前にした熱気のようなものも感じない。

豆田から駅前のホテルまで歩いた。途中、5歳まで私が住んでいた場所(今は別の建物がある)、両親が暮らしていた場所(売却したので、今、新たな家が建設されている)をみた。

それにしても、あまりに閑散としている。祇園祭の前だというので賑わいがあるのかと思ったら、何もない。夕方になると真っ暗。そもそも人を見かけない。駅前ですら午後8時に深夜のように人影をまったく見ない。車も一回の信号の青の時間に2、3台通過する程度。車がまったく通過しないのに、歩道が青に変わるのを長い時間待たなければならない。

日田駅は改修されてきれいになっているが、それにしても人通りが少ないのが心配になってくる。

 

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 早く目が覚めたので、朝食を済ませて、7時ころに隈地区(三隈川付近に発達した町で、旅館が並んでいる)まで歩いてみた。山鉾会館付近を見た。山鉾が見え、法被姿の町の人たちが準備している様子が見えたが、もちろんまだ山鉾は動いていない。ついでに昔からのなじみの場所である三隈川の川辺を歩き、亀山公園を見た。朝から暑い。汗だくなった。ホテルまで歩いても10分ほどなのだが、タクシーを見つけてホテルに戻った。

 8時半頃、歩いて豆田に向かった。歩く途中、中城地区の山鉾がちょうど動き出すところに遭遇した。飾りつけのされた山鉾の高さは3階建てのビルくらいだろうか。下の階層に人が入って笛を吹いたり、太鼓を鳴らしたりしている。町の衆20人くらいが綱を引き、その後に子供を含む20人から30人が歩いていく。警察官が数名ついて、道に入ってくる車を別の道に誘導している。私もあとをついて歩いた。

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近くでも別の山鉾が動いている様子だった。囃子の音が聞こえてきた。そこに移動してみた。同じような山鉾だった。また、別の一つが見えた。狭い豆田地区のいくつかの道で山鉾が動き出し、日田の中心部を流れる花月川に向かっていた。

そして、橋の上で4基が合流。川の上で四基が一列に並んだ。なかなかの壮観。

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 実は観光客でごった返していると予想していた。が、見る限り、観光客はゼロに近い。ほとんどが関係者。つまり山鉾を引く町内会の人やその家族。水筒を持ったり、着替えを持ったりして後についている。それに、一つの山鉾に警察官が数人ついているようだ。それ以外はたまたま自宅の前を通る山鉾を見送っている程度。地方のケーブル局のテレビ取材のカメラはあったが、私のような観光を目的としているらしいのは、私以外に4、5人しか見かけなかった。

 しばらくして、隈地区に行ってみた。山鉾会館の近くに行くと、こちらでも山鉾が3基ほど集まっていた。こちらにはツアー客がいた。中国人らしい客(ただ、どうも祇園見物に来たというより、何かの研修のついでに見物しているようだった)もいた。総勢で50人くらいの観光客がいたのではないか。ほかは日田市の人たち、そして関係者だろう。

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 しばらく見物して、昼食(好物の川魚定食)を済ませてホテルに戻った。一休みして、午後、なじみの町を少し歩いた。昨日に比べると、いくらか過ごしやすい。気温33度くらい。

 夕方、いとこたち(二人の従姉と一人の従弟、そして亡き従兄の夫人)と駅付近のビストロで会食。楽しい時間を過ごした。そして、夜8時過ぎに車で豆田に移動。夜の山鉾を見た。

 昼間はちょっと「しょぼく」見えたが、夜は壮観。橋の上には観光客がごった返しており、そこに3基が集まっていた。少し前までもう1基がいたようだ。たくさんの提灯をつけて多くの人に引かれていく。それが橋の上で大きな掛け声とともにすれ違う。交通整理の警察官も数人出ている。これぞ私がイメージしていた祇園祭だ。

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 橋の上から山鉾がすべてなくなってから、車でホテルまで送ってもらった。

 それにしても人が少ない。盛り上がっていない。ホテルにも観光客はいるが、大賑わいしているわけではない。

 日田の祇園祭は地方の祭りとして見事だ。ただ、山鉾が道を練り歩き、時々それが合流するだけなので、盛り上がりがあるわけではない。山鉾の巡航が豆田と隈の二つの地区に分かれているので、一箇所に集まる賑わいがない(祭りの前々日に顔見世が行われたらしいが,本祭の間にはそのような機会がない)。そのために観光客を集めにくいのだと思った。これほどの規模の祭りのわりに観光客が少ないのを大変残念に思った。

 

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 22日も夕方まで祇園祭を見ようと思っていたが、この様子では昨日と同じような光景になるのは目に見えている。夜までいればいろいろなイベントがあるらしいが、仕事の関係で、それは難しい。私はディスカウントの航空便とホテルのパックチケットでやってきて、福岡空港を2045分に出発する便を予約しているが、もっと早く東京に戻りたい。

 そう思って、朝方、日田市を少し歩いた後、すぐにチェックアウトして、バスで福岡空港に向かった。そして、空港で便の変更ができないかを尋ねてみた。が、やはりだめだった。仕方がないので、コインロッカーに荷物を置いて博多駅に移動。駅の付近だけでも見物したいところだが、なにしろ35度を超す気温だ。観光どころではない。そこで、駅ビルで映画を見ることにした。たまたま待たないで見られるのが「未来のミライ」だった。67歳の男が一人でアニメを見るのもどうかと思ったが、まあ仕方がない(映画の感想は改めて書くことにする)。

 映画を終えた後、マッサージを受け、その後、食事をしようかと思っていたら、映画を見ている間に夕立があったらしい。外は大雨。JR博多駅は雨漏りだそうで大混乱している。あちこち探したが、適当な場所がないので、映画館と同じ階に戻って郷土料理(鯖、イカ)を食べた。

ところが、その間に、家族から「福岡空港が雷で閉鎖されているとニュースで見たけれど、大丈夫か」という連絡があった。そのまま新幹線で東京に戻る手もあるが、荷物を空港に置いているので、ともあれ空港に様子を見に行くことにした。

 空港は大混乱。東京行きの便のほとんどが欠航になっていた。だが、幸い、私の乗る便は運行された。結局、1時間ほどの遅れで羽田に到着した。

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コメント

今回も私自身が旅している気分になりました。それくらい生き生きとした名文ですね。簡にして要を得た名文を、私も見習いたいと思います。ありがとうございました。

投稿: Eno | 2018年7月24日 (火) 21時07分

Eno 様
おほめにあずかり、恐縮です。ただ自分としては、あわてて書いただけですので、文体的に練れていないところをたくさん残っており、少々恥ずかしく思っておりました。日田は私にとって失われた故郷ですので、独特のニュアンスが文体に入り込んだのかもしれません。
ブログを時々拝見しております。アラン・ギルバートについての投稿を共感して読ませていただきました。ありがとうございます。

投稿: 樋口裕一 | 2018年7月26日 (木) 08時07分

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