鈴木優人+BCJのモーツァルトのレクイエム 素晴らしかった!
2018年9月24日、東京オペラシティ コンサートホールで、バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏会を聴いた。指揮は今回、首席指揮者に就任した鈴木優人、曲目は前半にモーツァルトの交響曲第25番と、ソプラノのモイツァ・エルトマンが加わっての演奏会用アリア「私があなたを忘れるだって?…おそれないで、恋人よ」KV505、後半に「レクイエム」と「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。
前半を聴いた時点では、実は少し不満を覚えた。いくら鈴木優人でもバロック音楽のようにはいかないな、と思ったのだった。私の不満を一言で言えば、「モーツァルトらしく歌わない」ということに尽きる。もちろん、ト短調の交響曲なので、悲劇的でドラマティックな表現が強くなるのはわかるが、それでも第2、3楽章は歌ってほしい。が、古楽器であるせいなのか、奏でられない。とりわけ第2楽章はぶつ切れのようになって、私は退屈に感じたのだった。
エルトマンについては、清楚で美しく、しかも強い声。ロマンティックになりすぎずに、抑制をもって、しかし的確に表現している。モーツァルトにぴったり。先日、リサイタルでその力量を知ったのだったが、改めて素晴らしい歌手だと思い知った。
後半の「レクイエム」は冒頭から陰影が深くて悲劇的、しかもこの上なく美しい。最初から最後まで、前半とは打って変わって、彫りの深い最高に美しい音楽が繰り広げられた。やはり、バッハ・コレギウム・ジャパンは合唱が素晴らしい。一つ一つの音が豊かでありながらも決して過剰ではない表情を持っている。オーケストラだけの交響曲では不満を感じたのだったが、合唱が加わった途端に最高の音楽になった。エルトマン(ソプラノ)のほか、マリアンネ・ベアーテ=キーラント(アルト)、櫻田亮(テノール)、クリスティアン・イムラー(バス)も全員が素晴らしい。
決して過激な表現ではない。少し前、NHK・BSで放送されたクルレンツィス指揮、ムジカエテルナのような先鋭的で個性的な演奏を聴いたが、それとはまったく異なるずっと正統的な音楽。小細工はしないで真正面からモーツァルトの最期を表現しようとしているかのよう。「ラクリモザ」の部分など、何度も涙が出そうになった。
「レクイエム」が終わった後、「アヴェ・ヴェルム・コルプス」。これも素晴らしかった。
鈴木優人が首席指揮者に就任して、ますますこの団体の演奏が楽しみになった。
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