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映画「判決、ふたつの希望」 何度か涙を流した!

レバノン出身のジアド・ドゥエイリ監督の映画「判決、ふたつの希望」をみた。とても良い映画だった。深く感動した。

 舞台はベイルート。パレスチナ難民排斥を訴える党(日本の「在特会」のようなものだろうか?)の支持者でキリスト教徒のレバノン人であるトニーは、パレスチナ難民のヤーセルとちょっとしたことでいざこざを起こす。しぶしぶヤーセルが謝罪にやってくるが、トニーはパレスチナ難民を侮辱する言葉を口にして、ヤーセルにひどく殴られる。そして、それが遠因で妻が流産しそうになる。トニーはヤーセルを訴え、裁判が始まるが、トニーの差別的な言動のためにレバノン全体で大きな問題になり、キリスト教徒とイスラム教徒の衝突が起こる。だが、トニーはかつてのイスラム教徒による大量虐殺の生き残りであることがわかり、被告と原告の間に相互理解が成り立ち始める。

「ネタバレ」になるので、これ以上は書かないが、そうした状況がとてもわかりやすく、しかもリアルに描かれている。原告と被告の二人の言い分はそれなりよくわかり、それぞれに自分たちの正義を貫こうとしていることもよく理解できる。本人たちも、すぐに片付くつもりだったことが自分の手を離れてあれよあれよという間にことが大きくなっていく様子、そして、それぞれについた弁護士が当人たちの意思からはずれて法廷闘争を繰り広げ、それぞれの側についたやり手弁護士(のちに、実は対立する親と娘であることがわかる)の代理戦争のようになっていく様子も実にリアル。弁護士たちが親と娘であるのも、実はレバノンのキリスト教徒もイスラム教徒も同じような痛手を受けた「似た者同士」であることを象徴するだろう。

 いずれの人物もそれぞれ癖があり、根っからの善人ではなく、だからといってもちろん悪人であるわけでもなく、みんなが傷を抱えながら懸命に生きている。そのような様子が一人一人の人物から伝わってくる。すべての役者さんたちが素晴らしい。私は何度か涙を流した。きっと多くの人が同じような思いをしただろう。

 息をつかせないほどの迫力で最後までぐいぐいと引っ張る監督の手腕はみごと。レバノンの過酷な状況をみて、行ってみたくなった。でも、ちょっと危険かな・・・。

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