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ネパールについて気付いたこと

 ネパール旅行といっても、たかだか45日なので、深く知ることはできなかった。表面を見ただけだが、旅の途中で気づいたことを挙げてみる。

・インフラが整備されていないことが何よりも目についた。これまで私が訪れたことのある国の中で最も整備の遅れた国といえそうだ。大都市であるカトマンズ(正確には、カトマンドゥと発音するべきだろう)でもこの状態なのだから、ほかの地域はもっとひどいのだと思う。

・昨日も書いたが、何よりも道路の慢性的な渋滞に驚いた。途上国の多くで渋滞は見られるが、カトマンズは別格。時速20キロ以上のスピードを出せるのはほんの一部の道ではないか。カトマンズ市内では平均時速5キロ前後で車は走っているだろう。

・狭い盆地に多くの人々が押しかけ、急速に人口が増えたためにインフラが追い付かないのだろう。カトマンズ市の人口は140万人程度、周辺地域を加えて200万人程度だという。人の多さの印象からは1000万人都市の雰囲気がある。あちこちに見られる電線の束もインフラが追い付いていない証拠だろう。

・路地が迷路のようにつながっているのがカトマンズだ。そこにバイクや車が入り込んで、警笛を鳴らして、その横を人が歩いている。人々が狭い土地に入り込んで、次々と家を建てていった結果、こうなったのだろう。

・このように書くと、まるで殺気立った街のように思えるだろうが、そうでないのもまたカトマンズの特徴ともいえるだろう。これほどの渋滞なのに、人々は辛抱強く待っている。警笛を鳴らすが、それは「どけどけ!」という警笛というよりも「危ないよ」という警笛のようだ。狭い路地の交差点で車と車がすれ違えなくために何台もの行列ができていても、多くの運転手がおとなしく待っている。

・いろいろな人種を見る。ネパール人といっても様々な顔がある。色の黒さもまちまち、西洋的だったり東洋的だったり。ときに日本人と同じような顔の人もいる。ネパールには100を超す民族・言語があるという。まさに多民族国家。しかも、宗教もヒンドゥー教と仏教、イスラム教などがある。ヒンドゥー教はカーストがあるために、一体感をもちづらい。これでは国家の連帯意識が生まれないのも無理がないと思う。

・ネパール人はおっとりしている。歩くのも遅い。せかせか歩いているのは観光客。

・掃き掃除をしているネパール人をやたら見かける。店の前を小さな箒で履いている。あつらでもこちらでも。だから、ミャンマーやパキスタンのようにあちこちにごみがたまっているといったことがないのだろう。

・物価は安くない。平均月収は2万円程度だというが、日本で1000円程度で食べられそうな食事が600円くらいした。ネパール人の知人と一緒に食事した(昨日、このブログで写真を示した)時に1人分の料金が1500円程度だった。300ミリリットルの現地産のウィスキーが800円なのには驚いた(かなりまずかった!)。大まかに言って日本の三分の二くらいの値段だと思った。観光客相手の地域だということもあるのかもしれないが、それにしても高い。現地の人はどうやって生活しているのだろう!

・女子高校生が男子と同じ制服を着ていた。すなわちシャツにネクタイを締めてズボンをはいている。男装の麗人かと思ったら、そうではなかった。多くの高校がこのような制服らしい。スカートをはく女性はゼロに等しい。3日目に少し意識してスカートを探してみたが、二人を見かけただけだった。その二人はおそらく外国人観光客だと思う。スカート風の民族衣装はまれに見かけるが、いわゆるスカート姿はほぼみない。

・唾を吐く人が多い。女性であっても大きな音を立てて唾を吐く。埃と煤煙の道路を歩いていると、確かに唾を吐きたくなる。

・空港の搭乗手続きの始まりを待って窓口近くの椅子に座っていたら、隣の椅子に掃除係の若い空港職員が座ってスマホでゲームをし始めた。もう一人はその隣に座って電話で話をしていた。搭乗手続きが始まって窓口に行ったら、係員の1人はガムを噛みながら対応していた。まったく悪気がなく、しかもやる気がないわけではないのだと思うが、ふつうにこのような態度をとる。

・男としてはとても残念なことだが、あまり美人を見かけなかったような気がする。インドに行ったときには、美人があまりに多いのにワクワクしたが、ここではあまりそのような思いがしなかった。

・ヒンドゥーの寺院と仏教寺院が並列的に存在する。そもそも、私のような門外漢にはその違いすらよくわからない。仏教寺院にはチベット仏教に特徴的なマニ車があるので、それとわかるが、それを除けば私にはヒンドゥー寺院との区別がつかない。仏教徒ヒンドゥー教が互いに排斥し合っている様子はない。反目や衝突もそれほどないという。現地の人も、日本における神社とお寺くらいの区別しかしていないのではないかという気がする。

・世界遺産はとても美しかった。ただ、私が感じたのは建築物としての美しさだった。レンガ造りの装飾などがとても美しい。ただ、そこにあまり宗教的な厳かさやありがたみはあまり感じなかった。

・またネパールを訪れたい。おそらくカトマンズだけがネパールの中で特殊なのだろう。次回はもっと田舎の静かなところを訪れたい。

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コメント

今回も興味深い旅行記、ありがとうございます。想像を絶する道路の渋滞ですが、その割に人々が苛立っていないというお話に、現地の素顔を見る思いがしました。良い面と悪い面と両方なのですね。ネパールという国がどんな国か、カトマンズという都市がどんな街か、まったくイメージを持っていませんでしたが、「なるほどなあ」と思いました。

投稿: Eno | 2018年9月17日 (月) 14時05分

いつの間にやら自分もカトマンズの迷路を歩き、渋滞に巻き込まれ、寺院や異国の空間にたたずみ、未知なる外国人たちの様子を興味をもって眺め…そんなわくわく感で読ませて頂きました。
先生のブログはカトマンズの風・音・風景・匂いなどすごく伝わってきてPC前でしばし没入してしまいました(物書きのプロの方ってすごいですね)。
楽しく拝見させて頂き有難うございます。

投稿: 通りすがり | 2018年9月18日 (火) 01時43分

Eno様
コメント、ありがとうございます。
昨日、1970年代にネパールに行った友人と話をし、写真を見せたところ、彼はネパールの「発展」に目を見張っていました。ただ、その「発展」は現在のグローバルな資本主義のマイナス面を大きくはらんでいるものではあります。
ブログを興味深く拝見しております。これからも楽しみにしております。

投稿: 樋口裕一 | 2018年9月19日 (水) 09時12分

「通りすがり」様
コメント、ありがとうございます。
おほめいただいて恐縮です。ただ、自分としては、あまり時間をかけずに思ったままを率直に書こうとしているだけです。人にお見せするレベルに達していないのではないかと思いながら、ともあれ自分の印象を定着させようとして書いております。ありがとうございました。

投稿: 樋口裕一 | 2018年9月19日 (水) 09時18分

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