ティツィアーナ・ドゥカーティの素晴らしい歌声
2018年10月26日、紀尾井ホールでティツィアーナ・ドゥカーティ・川畠成道・山口研生のチャリティコンサートを聴いた。収益金はチャリティのために使われるとのこと。
私はティツィアーナ・ドゥカーティのソプラノを目当てに出かけた。これまで4回ほど聴いてその素晴らしい歌声に圧倒されてきた。ドゥカーティは日本在住のイタリア人ソプラノ歌手だ。これほどの名歌手が日本にいるのが信じられない。これほど素晴らしい声と表現力を持つ日本在住のソプラノ歌手はほかにいないと思う。今回も期待通りの演奏だった。
最初に「セビリアの理髪師」のロジーナが歌う「今の歌声は」。つい数日前にグルベローヴァで聴いたばかりの歌。とても良かった。透明な声で発声がよく、ホール内に響き渡る。グルベローヴァとはまったく異なる表現。ちょっと落ち着きのあるロジーナだが、それはそれで本当に素晴らしい。
そのほか、前半にはドゥカーティは「浜辺の歌」、「赤とんぼ」。もちろん美しい声、見事な表現力で抒情にあふれていたが、ちょっと日本語の聴きとりにくいところがあった。もっとイタリア語の歌を聴きたかった。
後半は、シューベルトの「アヴェ・マリア」、「フィガロの結婚」の伯爵夫人の「楽しい思い出はどこへ」、「ジャンニ・スキッキ」のラウレッタの歌う「私のお父様」。とりわけ、伯爵夫人は見事だった。気品をもって愛を失った悲しみを歌いあげていた。ラウレッタについては、ちょっと落ち着きすぎていた気がしたが、もちろん声は最高に美しい。
アンコールでは、ドゥカーティは「アドリアーナ・ルクブルール」のアリアを歌った。これも素晴らしい。抒情がはじける。
ただ、私はソプラノとヴァイオリンとピアノの組み合わせによるコンサートがしっくりこなかった。三人による演奏も何曲かあったが、無理やり三人にしているとしか思えない。プログラムも一貫性を感じなかった。それぞれが演奏したい曲を持ちよって順番に演奏した感じ。やはりコンサートの曲目には何らかのメッセージがほしい。
私の大きな不満は、もっと私のひいきのドゥカーティの演奏を聴きたかったのに聴けなかったこと。川畠成道さんのヴァイオリンによる「タイスの瞑想曲」もきれいな音だったし、エルンスト作曲の「シューベルトの『魔王』による大奇想曲や「カルメン幻想曲」では、見事な技巧を聴かせてくれたが、やはり私にはドゥカーティが圧倒的に素晴らしかった。
もっと多くの人にこの歌手の真価を知ってほしい。一度聴いたら、きっとこれほどの世界レベルの歌手が日本にいることに驚かれると思う。
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