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ティーレマン+ドレスデン国立歌劇場管弦楽団 シューマンの交響曲1・2番 名演奏!

 20181031日、サントリーホールでドレスデン国立歌劇場管弦楽団によるシューマン交響曲全曲演奏の初日を聴いた。いやはや、とてつもない名演奏。

 予想はしていたが、予想以上にオーケストラが素晴らしい。これほどのオーケストラを聴いてしまうと、やはりふだん聴いている日本のオーケストラはまだまだだと思わざるを得ない。まず、音合わせのオーボエの音からして、まったく別次元。その後、弦が加わると、そこでまた美しさに痺れてしまう。ウィーン・フィル並み、あるいはそれ以上かも。

 シューマンの交響曲を実は私はほとんど聴かない。20歳になるころまで(つまり、1960年代から70年代初め)、名盤とされていたフランツ・コンヴィチュニー指揮、ゲヴァントハウス管弦楽団のレコードを繰り返し聴いていたので、もちろん曲はよく知っているが、その後、実演は数えるほどしか聴いていない。しかも、それはほかの曲(ほとんどがベートーヴェンやブラームス)を目当てに足を運んで、ついでに聴いた場合に限られる。よく言われる通り、オーケストレーションがうまくないし、時々妙にしつこい同じ音形の繰り返しが多くて、聴いていてすっきりしないので、だんだんとシューマンから関心が離れていた。

 そのようなシューマンをティーレマンはどう指揮するか、シュターツカペレ・ドレスデンはどれほどの音を聴かせてくれるか、その興味でサントリーホールに足を運んだのだった。

 まずオーケストラの響きにびっくり。なるほどこれがシューマンの音なのだ! ロマンティックでしなやか。木管の音がニュアンスたっぷり。弦はまさに歌うようでありながら、厚みもあり、律動もある。アンサンブルはまったく乱れず、一つの生き物のように形を成して動いていく。

 ティーレマンの指揮もまたあまりに鮮やか。私はまったくの素人なので、どういう仕掛けがあるのかまったくわからないが、なぜかシューマンのオーケストレーションの不器用さを少しも感じない。しなやかに響くし、確かにブラームスなどに比べるとずっと同じ楽器がメロディを受け持っていて変化がないのは感じるが、それはそれで魅力的に聞こえる。第1番の第4楽章は感動のあまり心が震えた。

 最も苦手な第2番。これこそあまりにしつこい繰り返しに、ふだんはうんざりする曲だ。事実、第1楽章、第2楽章では、同じ音形を繰り返し、いつまでもそこから脱出できないのに少々イライラした。が、最後の楽章になると、まるでベートーヴェンの曲のように、光が見え、かつての苦悩が昇華されていくではないか。ここでも私は深く感動した。いやあ、凄い名曲ではないか!と思ったのだった。

 明日は第3番と第4番。この2曲は実演でも何度か聴いた(カラヤン+ベルリン・フィルの来日公演で第4番を聴いた記憶がある)。シューマンの中では好きな曲に入る。明日もまた楽しみだ。

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コメント

樋口裕一さん、こんにちは。

僕はあまりCDも持っていませんけど、(持っているCDの多くはロックとポップスです。)シュターツカペレ・ドレスデンの演奏はCDを聴く限り素敵だと思っています。まあシューマンはオーケストレーションが下手だとか言われますが、SKDにかかったらそれも解消されるのかもしれませんね。

今日のサントリーホールでの3番〈ライン〉と4番を楽しんで来てください。

投稿: KUM | 2018年11月 1日 (木) 17時34分

KUM 様

コメント、ありがとうございます。ブログにも書きました通り、本日の演奏にもとても満足しました。昨日よりも素晴らしい演奏だったと思います。オーケストラの精度の高さ、そしてティーレマンの音楽性の豊かさを改めて認識しました。

投稿: 樋口裕一 | 2018年11月 2日 (金) 01時06分

樋口裕一さん

僕はシューマンの交響曲全集をワンセット、レナード・バーンスタイン指揮・ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のものを持っているだけですし、普段はあまり聴きません。

僕の財力では高いコンサートには行けませんから、できることはAmazonで安いCDを探したり、テレビの音楽番組を録画するしかないです。でも、世の中には僕よりも恵まれない人間やそもそも音楽の分からない多数の生命がいて、それで僕が偉いものでもなんでもありませんが、自分が恵まれていることを悟る次第です。

何か生意気なことを言って申し訳ありません。


投稿: KUM | 2018年11月 2日 (金) 20時29分

KUM様
快楽原則のこと、おっしゃる通りだと思います。その快楽が経済とたまたまうまくかみ合った人が経済的に恵まれ、そうでない人が恵まれないという構図だと思います。世の中はそんな風に動いているなあ・・というのが、高齢者になった私の感慨です。
私にとっての音楽や執筆も快楽なのだと思います。私が音楽を好きになったのも、聴いているうちにほとんど性的なほどの恍惚を覚えていたからです。昔は私の快楽と経済性はかみ合わなかったので苦労しましたが、自分の快楽を少し経済性にかみ合うように修正してから多少楽になったように思います。それでも、経済性に合致しない快楽をひたすら欲する自分が強烈に存在するのも事実です。

投稿: 樋口裕一 | 2018年11月 3日 (土) 09時13分

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