ダンテ弦楽四重奏団 派手さはないが、とてもよい演奏
2018年11月26日、武蔵野市民文化会館小ホールでダンテ弦楽四重奏団の演奏を聴いた。曲目は前半にハーバート・ハウエルズという20世紀前半に活躍したイギリスの作曲家の「オードリー夫人の組曲」とショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第3番、後半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番(ラズモフスキー第3番)。派手なごことはないが、とても良い演奏だった。
ダンテ弦楽四重奏団は1995年に結成されたロンドンを中心に活動する団体とのこと。ヴィオラを担当するのは日本人の井上祐子さん。この団体についてこの度、初めて知った。
ハウエルズの曲は、いかにもイギリス音楽。ディーリアスやエルガーと同じように、メリハリがなく、どうということなく進んでいく。イギリス音楽を好きな人がいるのは承知しているが、私は少々退屈に思う。が、この団体のアンサンブルはとてもきれいなのはよくわかった。
ショスタコーヴィチの第3番もとてもよかった。あまり激しくない。私はもっと強烈でもっと激情的なショスタコーヴィチを聴きたいと思っていたが、むしろ抑制が効き、バランスがとてもいい。とはいえ、第3楽章は圧巻。アンサンブルがよいので心の奥までショスタコーヴィチの激しい心が伝わってくる。
後半のベートーヴェンも、抑制されており、生のままに感情をたたきつけるような音楽ではない。形は崩れず、明確に音楽が進んでいく。アンサンブルが美しい。かなり現代的な音がするが、それが行き過ぎていない。絶妙のバランスだと思う。素晴らしい。終楽章も派手ではないが、大きく盛り上がった。
アンコールはチャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」。これも、情緒に流されない、抑制のきいた、しかし十分にロマンティックな音楽。
第一ヴァイオリンはクリシア・オソストヴィッチという女性だったが、ショスタコーヴィチとチャイコフスキーではオスカー・パークスという若い男性に交代。とてもキレのよい美しい音のヴァイオリンだった。
とても満足した。
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