ヤノフスキ+N響の第九 第3楽章まで最高だった!
2018年12月26日、NHKホールでNHK交響楽団の「第九」演奏会を聴いた。指揮はマレク・ヤノフスキ。第3楽章までは素晴らしかった。
始まった途端、ドイツの音がするのにびっくり。そういえば、前日聴いたザネッティの指揮はまったくドイツ風ではなかった。正統的なドイツのオーケストラの音の響き。昔よく聞いた響きだ。やはりドイツ風の音は素晴らしい。厚みがあり、深みがある。ヤノフスキの指揮はきわめて正統的。しかし、音は明るめで、テンポは速い。小気味よく音楽が推進され、深く響き渡る。それぞれの楽章が完璧。N響も見事。今年4回目の「第九」だが、さすがにヤノフスキだけあって、今まで聴いた第九とはレベルが違うと思った。
とりわけ第3楽章は素晴らしかった。妙なる音楽が奏でられる。管楽器が実に美しい。まさしく無我の境地とでもいおうか。それまでの自我にこだわってあくせくして来た世界から離れて、新たな境地に入る。音楽によって歌われる。管楽器がとりわけ素晴らしかった。
ところが、第4楽章。オーケストラの部分は素晴らしい。だが、バリトン独唱が始まった途端、私はかなり違和感を味わった。アルベルト・ドーメンの歌い回しがあまりに自由! くだけた歌い回しとでもいうか。ちょっとミスもあったような気がした。ほかの歌手たちも同じ雰囲気ならそれはそれでよいと思うのだが、ロバート・ディーン・スミスも藤谷佳奈枝も加納悦子も、そして合唱の東京オペラシンガーズも、むしろあまりに生真面目に歌う。その差がありすぎる。しかも四人のソリストの声がきれいなアンサンブルをなさない。歌う姿勢も、ドーメンだけゆらゆらと動き、ほかの歌手たちは微動だにしない。もしかしたら、ドーメンは酔っ払っているのだろうか?と疑いたくなったが、むしろ逆に、私としてはほかの歌手たちが生真面目すぎると思った。
とりわけ東京オペラシンガーズは、まっすぐ立ったまま強い声で歌う。だが、そうするとまるで軍隊調に聞こえて、「歓びの歌」に聞こえない。結局ちぐはぐなまま第4楽章は終わった。プログラムにヤノフスキ自身、インタビューに「第4楽章は重要ではない。第3楽章が最高」というようなことを語っている。その通り、第4楽章はあまりよくなかった。
とはいえ、これほどの第3楽章までを聴けることはめったにない。幸せだった。
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