ヴィット+新日フィルの第九 感銘を受けなかった
2018年12月16日、オーチャードホールで新日本フィルハーモニー交響楽団の「第九」特別演奏会を聴いた。指揮はアントニ・ヴィット。独唱は盛田麻央(ソプラノ)、中島郁子(アルト)、大槻孝志(テノール)、萩原潤(バリトン)。
ヴィットの演奏は、ナントのラ・フォル・ジュルネで何度か聴いたことがある。とても良かったこともあったし、そうでないこともあった。ナントでちょっとだけ話を交わしたこともある。私のへたなフランス語を辛抱強く聞いてくれて、ともあれ会話にはなった。昨年の新日フィルの第九(マルク・アンドレーエ指揮)は惨憺たるものだと私は思ったのだが、今年はヴィットが振るというのなら、聴かないわけにはいかない。そう思って出かけた。
全体的にはかなりオーソドックスな指揮だと思う。が、強調するべきは強調する。ところどころハッとするようなところがあった。とりわけ、第4楽章の合唱のパートでかなり歌い方に工夫が加えられているようだった。きっと合唱指揮の栗山文昭ではなく、ヴィットの指示によるものだと思う。そのおかげで時折新鮮に響くところがあった。その意味ではとても興味深く聴かせてもらった。
ただ、私はどうもリズムが不安定でバタバタしているように思えた。第1楽章はとてもよかったが、第2楽章でダイナミックでバタバタ感が強まり、第3楽章ではじっくりとした静寂が訪れずにファンファーレに部分も不発に感じた。第4楽章でもそれが続き、とりわけ合唱の始まる前の各楽章のテーマが出現する部分も平板だった。
歌手陣については、私は萩原潤の自然な美声に惹かれた。大槻孝志もとても安定した歌唱だった。女声陣については、少し声を張り上げすぎているように思えた。栗友会合唱団による合唱も、ヴィットの指揮のせいかもしれないが、安定性に欠けると思った。
新日フィルについても、大きなミスなかったとはいえ、アンサンブルがビシッと決まらず、心もとなさを感じることが何度かあった。昨年に比べればずっと良かったとはいえ、全体的にはあまり感銘を受けなかった。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 東京二期会「ファウストの劫罰」 素晴らしい演奏だが、フランス語が気になった(2025.12.13)
- フォン・オッターのクリスマスソング 気品にあふれる温かいクリスマスの歌!(2025.12.08)
- サーディのグリーグとフォーレとフランク 真面目なヴァイオリン!(2025.12.07)
- 下野&東響の第九 高貴な本格的第九!(2025.12.06)
- オペラ映像「ニーベルングの指環」「ルイーズ」(2025.12.01)

コメント