ギルバート+都響 「ドン・キホーテ」よりも「カルメン」「スペイン奇想曲」のほうがよかった
2018年12月18日、東京芸術劇場大ホールで東京都交響楽団演奏会を聴いた。指揮はアラン・ギルバート。曲目は前半にチェロのターニャ・テツラフとヴィオラの鈴木学が加わって、リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」、後半に、ビゼーの「カルメン」組曲より(アラン・ギルバート・セレクション)とリムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」。
「ドン・キホーテ」を目当てに出かけたのだったが、残念ながら私の好きな演奏ではなかった。とてもニュアンス豊かで、しなやかで色彩的。ソリスト二人もとてもきれいな音。都響のアンサンブルもとてもいい。その点ではもうしぶんないと思った。音が濁らないし、管楽器もとても美しい。部分部分は素晴らしい。ところが、とぎれとぎれになって全体のつながりを感じない。もちろん、曲自体にそのような面があるのだが、ほかの演奏家で聴くよりもずっとその傾向が強い。ひとつながりの物語になっていかず、結局何をしているのかわからなくなった。情景描写としても中途半端、かといって一つの統一体としての音楽にもなり切れていないと思った。
「ドン・キホーテ」は、シュトラウスの交響詩の中ではかなり好きな曲だ。高校生のころからレコードをずいぶんと聴いてきた。昔はしばしばコンサートにかかっていたが、このごろ、トンと聴かなくなった。そう思ってやってきたのだったが、確かに曲としても弱いかもしれないと思った。
後半はそれに比べれば、ずっと良かった。「カルメン」組曲、「スペイン奇想曲」ともに通俗名曲だが、俗にならず、しかし十分にメリハリをつけ色彩感を表に出し、オーケストラの性能をしっかりと聴かせ、しっかりとまとめている。実にうまい語り口、そして、最後には音に酔わせ感動させる。アラン・ギルバートの手腕に感服。同時に都響サウンドにも感服。
後半を聴きながら思った。ギルバートは、「ドン・キホーテ」も全体をまとめるつもりはなかったのだろう。この交響詩も一つの奇想曲のように、統一性のない気まぐれな曲として提示したかったのだろうと思った。だが、やはり私は「ドン・キホーテ」については全体的な統一感が必要だろうと思う。その点では不満が残った。
| 固定リンク
« 映画「運命は踊る」「ニーチェの馬」「倫敦から来た男」「パリ20区 僕たちのクラス」「カメラを止めるな」「検察側の罪人」 | トップページ | 映画「葡萄畑に帰ろう」 あまりに陳腐だが、ジョージアの風景は見られた »
「音楽」カテゴリの記事
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)
- ハチャトゥリアン、ヴァルチュハ&読響 興奮した!(2026.09.15)
- ピノック&紀尾井室内管のドイツ・レクイエム よい演奏だが感動しなかった(2026.09.12)

コメント