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小泉和裕+都響の第九 理にかなった素晴らしい演奏

 20181224日、東京芸術劇場で都響スペシャル「第九」コンサートを聴いた。指揮は小泉和裕。

 小泉の第九を初めて聴いたが、素晴らしい演奏だった! まさしく正統の演奏。大袈裟に煽ることもない。テンポを動かすこともない。きわめて理詰めに、的確に音楽が進んでいく。楽器のバランスもとてもいい。指揮者はとりたてて何かをしているようには思えない。いつものようにうつむき加減で手を動かすだけ。だが、その手の動きによってオーケストラの音色が変化し、表情が生まれてくる。そのような表現がとても理にかなっているので、徐々に音楽が高まっていく。心の奥に響く。音色も素晴らしかった。弦も管楽器もとても美しい。アンサンブルが見事。何度も心の底から感動した。最後には涙が出てきた。

 とりわけ第1楽章が素晴らしいと思った。スケールが大きく、ダイナミック。しかし、もちろん細かなニュアンスもしっかりと伝わる。構成感もしっかりしているし、文句なし。第2楽章もティンパニの音が明確でメリハリがあって、まさに高貴な感じがする。

そして、第3楽章。実は少し不満だった。もっともっと精妙であってほしかった。が、今日、聴きながら、ちょっとした発見をした気になった。私はこれまで第3楽章の構造に納得できなかった。最高に美しい音楽だと思うのだが、突然のファンファーレは一体何なんだ?・・・などとこの曲を夢中で聴き始めた中学生のころからずっと疑問に思っていた。が、今日、聴きながら、「ああ、そんな曲だったのか!」と納得したのだった。ただ、それがどんな納得だったかをここに書くのはよそう。もう少しほかの演奏なども聴いてみることにする。が、ともあれ小泉の演奏を聴いて初めて納得できた気になったのだった。

 第4楽章も見事だった。納得のできる音楽の物語があってソロが始まった。歌手陣(安井陽子・富岡明子・福井敬・甲斐栄次郎)も全員とてもそろっていた。二期会合唱団も全体的にはとてもよかった(ちょっとだけ乱れがあった気がしたが、気のせいか?)。祝祭感が最高だと思った。決して大袈裟に煽るわけではないのに、音色が豊かで抑えていた音楽的方言が解放されるので心の底から歓びにあふれる。小泉の素晴らしい指揮者であり、都響も素晴らしいオケだと改めて思った。

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