秋山+東響の第九 実にオーソドックス!
2018年12月28日、東京交響楽団の特別演奏会「第九と四季」を聴いた。指揮は秋山和慶。年末の第九を演奏するのはこれが最後だという。
第九の前に秋山和慶の指揮とチェンバロ辻彩奈のヴァイオリンでヴィヴァルディの「四季」から「春」と「冬」。辻彩奈のヴァイオリンを初めて聴く。噂には聞いていたが、とても清潔で若々しく、鮮烈な音楽。もうちょっとアクを強く演奏してもよいと思うのだが、ちょっと遠慮がちに思えた。マエストロ秋山の指揮のもとではなかなか思い切ったことはできないだろう。とはいえ、とてもよい演奏。
その後、第九。秋山の第九は、おそらく20年以上前に一度聴いただけだ。ほとんど記憶にないが、とてもよい、しかしごく当たり前の演奏だと思ったのは覚えている。そして、今日また、まったく同じように思った。もしかしたら、基本的なところではほとんど同じような演奏だったのかもしれない。私は55年くらい前から第九に熱狂しながらレコードで聴いてきたが、秋山の演奏は、これまで聴き慣れた標準的な第九そのままの感じだった。これが秋山の魅力なのだろう。とても生き生きしているし、ティンパニが活躍するし、盛り上がりは素晴らしいし、オケがちょっとバタバタしているが、ともあれ解釈は実にオーソドックス。このごろではむしろ珍しいほどのまともさ。無理な誇張はないし、速すぎもしない。見事。ただ私は本来オーソドックス好きなのだが、ここまでだと、正直言って少々退屈に感じた。
歌手陣(中村恵理・藤村実穂子・西村悟・妻屋秀和)はとてもよかったが、少しちぐはぐさを感じないでもなかった。音程がちょっと不安定な歌手もいた。そのためもあって四人のアンサンブルがきれいに重ならないところもあったように思う。東響コーラスの合唱も少しが鳴り気味に思えた。
アンコールは「蛍の光」。マエストロ秋山の年末恒例の第九との別れ。
ウェルザー=メスト+ウィーンフィル、オラモ+ストックホルム響、ヴィット+新日フィル、小泉+都響、ザネッティ+読響、ヤノフスキ+N響に続いて、今年7回目の第九だった。いずれもとても楽しんだ。
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