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札響の東京公演 派手さなはないが、素晴らしい音楽

 2019130日、サントリーホールで札幌交響楽団東京公演を聴いた。指揮はマティアス・バーメルト。曲目は前半にモーツァルトのセレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」と岡田奏が加わってベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、後半にブラームスの交響曲第2番。

 とても良い演奏だった。とても繊細でアンサンブルの美しいオーケストラだ。とりわけ弦楽器の音がとても美しい。音の重なりがしっかりと聞こえるような透明な音。「セレナータ・ノットゥルナ」の第1楽章の前半こそ少しバランスがよくなかったが、すぐに立て直して、第2楽章以降は素晴らしかった。

 ピアノの岡田奏も透明な音。やや硬質な音といえるかもしれない。一つ一つの音の粒立ちが美しい。第1楽章前半は少し集中力が欠けているように思えたが、カデンツァあたりからぐんぐんと乗ってきて、硬質でありながら、とても繊細に奏でられるようになった。第2楽章も実に繊細で、しかもそこに強い音も交じり、また柔らかい音も加わって、しなやかな音楽が構成されていった。ただ、もう少し第3楽章をダイナミックに弾いてもよいのではないかと思ったが、繊細な音で通し、そこに美を見つけ出そうとするのがこのピアノストの美学なのだろう。ピアノのアンコールにラヴェルの小曲(あれ、曲名を忘れた!)。これも硬質な音による繊細な音楽が構築されていった。素晴らしいピアニストだと思った。。もっと大喝采が起こるかと思ったのだが、客の入りが満員ではなかったこともあって、ちょっとおとなしめだった。

 後半のブラームスの交響曲もよかった。ただ、バーメルトはあまり自分を押し出さないタイプの指揮者のようだ。ところどころで独特のリズムでメロディを鳴らすが、それほど極端ではなく、あくまでも自然な音楽の流れを重視する。強い味付けはしないで、音楽の本質を静かに作りだす。もう少し自己主張してくれてもよいのではないかと思うのだが、これがこの指揮者の考えるブラームスなのだろう。最後まで抑制をきかせ、しなやかで繊細に演奏し、第4楽章の最後の最後で静かに感情が爆発する。なるほど、とても説得力のある音楽づくりだと思う。ただ、実を言うと、あまりに地味なので、第2楽章ではちょっと退屈したのだった。

 アンコールはモーツァルトのディヴェルティメント(何番だったか忘れた)。見事な演奏。弦のアンサンブルが美しい。札響の実力がよくわかるアンコール曲だった。

 札幌交響楽団、マティアス・バーメルト、岡田奏。いずれも派手ではない。だが、とても素晴らしい音楽家たち。本質を見据えた音楽を存分に聴かせてもらった。

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