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ドゥネーヴ+N響 ラヴェルの音が聞こえなかった

201916日、オーチャードホールでN響オーチャード定期公演を聴いた。指揮はステファヌ・ドゥネーヴ。ドゥネーヴの実演は、かなり前、パリ国立オペラの「アリアーヌと青ひげ」の公演で聴いた記憶がある。今年初めてのコンサートにドゥネーヴが得意とするヴラヴェルを聴きたと思ったのだった。

曲目は、前半にシャブリエの狂詩曲「スペイン」と、韓国出身の若き女性ヴァイオリニスト、イェウン・チェが加わってメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調、後半にラヴェルの「マ・メール・ロワ」組曲、「亡き王女のためのパヴァーヌ」「ラ・ヴァルス」。

シャブリエの曲はまずは肩慣らしといったところ。しっかりした音を出しているが、もう少し色彩的であってほしいと思った。

メンデルスゾーンについては、あまりにさらさらとした演奏だった。イェウン・チェのキャラクターなのだろうか。タメもなく、流麗に弾こうとするでもなく、勢い良く弾いていく。が、これではあまりに素っ気ない。ロマンティックに歌い上げる必要は必ずしもないが、もう少しフレーズごとの表情の違いを聞かせてくれないとメンデルスゾーンの音楽が伝わってこない。どうということなく終わってしまって、拍子抜け。ヴァイオリンのアンコールはバッハの無伴奏ソナタ第2番アンダンテだが、これも何を弾こうとしているのか、私にはわからなかった。私としては、このヴァイオリニスト大いに期待していたのだったが、期待外れだった。このような音楽を作る人なのだろうか。

後半は前半よりはずっと良かった。が、それでも、私は心から楽しめたわけではなかった。NHK交響楽団から私の期待していたラヴェルの音が聞こえてこない。私がラヴェルを得意にするドゥネーヴに期待していたのは、精妙で知的で軽やかでしなやかな音だった。だが、かなり硬い音が聞こえてくる。これではフランス音楽に聞こえない。「亡き王女のためのパヴァーヌ」で朴訥としながらも優雅で高貴な音が静かに立ちあがると思っていたのだが、私にはきつい音に聞こえた。「ラ・ヴァルス」でワルツのメロディが沸き起こり、それが徐々に情念を増して、うねり、高まり、飛翔し、渦巻いていくのを期待していたのだが、そうした音楽の運動は聞き取れなかった。もっとずっと直線的な硬い音を重ねる演奏だった。もちろんこのようなラヴェルもあってよいと思うが、これが指揮者の求めている音なのかどうか私としては疑問を覚えた。

アンコールは「アルルの女」のファランドール。ここでやっと本領を発揮した。だが、それでもまだ色彩感が不足するように思った。ドゥネーヴの実力はこんなものではないはず。ドゥネーヴの求める音をN響は出せていないのではないかと思った。

久しぶりにラヴェルのオーケストラ曲を聴いた。静かな音に耳を傾ける場面が多かった。だが、どういうわけか今日の客席からは、プログラムをめくったり、飴玉をむいたりする音がずっと聞えていた。すぐ後ろの女性客はコートを下半身にかけて聴いていたが、生地の材質のせいだろう、服のこすれる音がしばしば聞こえた。そうしたことも含めて、今日はかなり不満が残った。

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