ニューイヤー・ワーグナー・ガラ 新春からワーグナーを堪能した
2019年1月8日、紀尾井ホールでニューイヤー・ワーグナー・グランド・ガラコンサートを聴いた。ワーグナーの名場面がまとめて演奏された。新春からワーグナーを堪能できて、大満足。素晴らしい演奏だった。
オーケストラはThe Opera Band。未知のオーケストラだと思っていたが、メンバーの顔を見ると、見覚えのある人たち。たぶん、N響中心のメンバーだと思う。どうりでうまいはず。ただ、最初の曲「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕への前奏ではバランスが最悪だった。指揮のホルヘ・パローディがオーケストラを掌握できていなかったのかもしれない。が、その後、とてもよくなっていった。「タンホイザー」序曲では素晴らしい演奏になった。パローディはかなり堅実にしっかりと土台を築いていくタイプの指揮者だと思う。最終的には見事だった。
歌手も粒ぞろいだった。後藤春馬のザックス(「迷妄のモノローグ」)も深い声でとてもよかった。矢野敦子のエリーザベト(「歌の殿堂のアリア」)もよく通るしっかりした声が素晴らしい。青戸知のヴォルフラム(「夕星の歌」)も繊細で細かいところまでとてもニュアンス豊かな歌。青戸さんはこれまで何度も聴いてきたが、髪形を変えたせいか雰囲気がまったく違っていて初めは誰なのか識別できなかった。
田村由貴絵のブランゲーネ(「見張りの歌」)はとりわけ素晴らしかった。ただ、この部分だけでは、ガラコンサートとしては盛り上がりに欠けてしまうのは致し方ないところだろう。ブランゲーネのこの歌はあくまでもトリスタンとイゾルデの愛の二重唱を盛り立てるための影の役割なのだから。
宮里直樹のローエングリン(「はるか遠い国で」)は今回のガラコンサートの中でも最高の歌声だった。輝かしい芯のある声。やっと本格的な日本人ヘルデンテノールが登場したと言えるのかもしれない。
最後の曲は「ワルキューレ」第三幕。ワルキューレたちもみんな実に高いレベルでそろっていた。全員がドレスを着ていたが、猛々しいワルキューレたちの姿が目に浮かぶようだった。ブリュンヒルデ(武井涼子)とジークリンデ(岩井理花)も感動的なやり取りを聴かせてくれた。前半に武井涼子はイゾルデ(「愛の死」)をしっとりと、しかも強く歌ったが、オーケストラに埋もれてしまうところがあったし、岩井理花のエルザ(「エルザの夢」)はヴィブラートが強すぎて声が伸びなかった。だが、「ワルキューレ」では、二人ともさすがというべきか実に感動的な歌を聴かせてくれた。ジークフリートの誕生を予告する場面では私は不覚にも涙を流したのだった。
ともあれ、新春からオーケストラ伴奏で、とても高いレベルの歌唱でワーグナーを聴けてとてもうれしい。これが恒例になって、毎年、ワーグナー・ニューイヤーコンサートが開催されたらこんなうれしいことはない。
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