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METライブビューイング『椿姫』 ダムラウ、フローレス、ネゼ=セガンがあまりに凄い

 東劇でMETライブビューイングの『椿姫』をみた。2018年12月15日に上演された舞台とのこと。音楽監督就任したヤニック・ネゼ=セガンの指揮、ディアナ・ダムラウのヴィオレッタ、フアン・ディエゴ・フローレスのアルフレード、クイン・ケルシーのジョルジョ・ジェルモンという超豪華キャストによる上演。このキャストにふさわしい圧倒的名演だった。

 演出はマイケル・メイヤー。第一幕の序曲の部分でヴィオレッタは舞台中央のベッドに横たわっている。第一幕以降は、死を前にしたヴィオレッタの回想ということだろう。豪華で美しい舞台、存在感のある衣装。オーソドックスだが、説得力がある。

 まずはフローレスの「乾杯の歌」が見事。ベル・カントを歌うときのような輝かしい声の威力を発揮するわけではないが、躍動感にあふれている。そして、もちろんダムラウの透明で芯の強い声に圧倒された。「ああ、そはかの人か」の声の美しさもさることながら、「花から花へ」の歌の演技と声があまりに素晴らしい。ヴィオレッタの心の揺れ動きが歌によって、そして演技によって伝わってくる。しかも透明で美しい声がビンビンと響く。

 第二幕、第三幕と進んでいくにつれ、二人とも凄みを増してきた。フローレスの怒り、苛立ちの表現はまさしくリアル。ヴィオレッタの哀しみ、絶望もひしひしと伝わる。そして、ジェルモンのケルシーも切々と訴え、その父性が伝わる。舞踏にまったく関心のない私はバレエの場面ではいつも音楽だけを聴いているのだが、今回ばかりは第二幕第二場のバレエに目を奪われた。さすがメトロポリタン。まったくの素人も楽しませてくれる。

それにしても、第三幕でヴィオレッタの歌う「過ぎし日よ、さようなら」はあまりに切ない。ダムラウの歌唱に酔った。メロドラマの類が嫌いな私もこれほど美しく伸びる声で悲しい愛を想いながら絶望するヴィオレッタの心情を歌われては涙を流すしかない。「パリを離れて」の二重唱、そして、最後の場面もあまりに素晴らしい。

それにしても、ネゼ=セガンの指揮ぶりにも圧倒された。私は初めてネゼ=セガンを知ったのは2011年のザルツブルグ音楽祭だった。『ドン・ジョヴァンニ』の中身の詰まった雄弁な音に深く感動したのを覚えている。それ以来、私の大好きな指揮者の一人だ。その知的で魅力的な指揮ぶりは、ライブビューイングで映し出されたダムラウとのリハーサルの場面でもよくわかる。ますますの充実。彼がメトロポリタン歌劇以上の音楽監督になったのを私はとてもうれしく思う。

ますます、これからのメトロポリタンの演目が楽しみになってきた。

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