コンチェルト・ケルン 清新な音!
2019年2月11日、武蔵野市民文化会館でコンチェルト・ケルン、ヴァレア・サバドゥス(カウンター・テナー)の演奏を聴いた。
曲目は、ヘンデル、ヴィヴァルディ、カルダーラ、ポルポラらの作品。見事な演奏。コンサート・マスターのマルクス・ホフマンさんは急病のために来日していないとのことで、代わってコンサート・ミストレスの平崎真弓さんがオーケストラをリードする。この楽団は基本的に指揮者はおかないので、平崎さんは事実上の指揮者だ。平崎さんはこの素晴らしい古楽オーケストラをしっかりとリードしてくれた。とりわけヴィヴァルディの2つのヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調のソリストも兼ねた演奏は素晴らしかった。まさしく清新な音がする。今生まれたばかりのような音が積み重なっていく。
ただ、ラ・フォル・ジュルネで聴いた時の印象と少し異なる。以前はもっと疾風怒濤でもっと起伏が大きかった気がする。選んだ曲のせいなのか、コンサート・ミストレスの個性なのか、この種の音楽に特に詳しいわけではない私には判断できない。とはいえ、十分に勢いがあり、流れがよく、緊密で明確な演奏だと思う。
サバドゥスに関しては、前半はカウンターテナー特有の暗めの音色と音程の不安定さが少々気になった。私がこれまで聴いた世界的カウンタテナー(ジャルスキーやカルロス・メナ)に比べると、音の「抜け」がよくないように感じた。どうしてもくぐもってしまう。最初の曲「オンブラ・マイ・フ」では、とりわけそれを感じた。
が、後半になってとてもよくなった。とてもきれいな声が豊かに響くようになり、音程もよくなった。プログラムの最後のポルポラ作曲のオペラ「ポリフェーモ」のアリア「至高のジョーヴェ」と「おお、これが運命か」、そして最後のアンコール曲(ヘンデルの「背る世」の中のアリア)は、いずれも技巧を聴かせた曲でとてもよかった。
ただ、慣れの問題かもしれないが、やはり高音は女性の声の方が安定しているし、より美しく響くとは思ったのだった。そして、アンコールの2曲目に日本語で歌われた石川啄木の詩による「初恋」は、私には「はつこい」という言葉以外、ほとんど聞き取れなかった。もちろん、私にもっと教養があれば聴きとれたのだろうが、やはり、発声に無理があるのではなかろうかと思わざるを得なかった。
18世紀に大カストラートであるファルネッリのような歌声が聴けるのではないかと思って足を運んだのだった、私はむしろ、歌のつかなかったダッラーバコの合奏協奏曲ニ長調 Op.5-6やヴィヴァルディの協奏曲イ長調 RV158、ヘンデルのシンフォニア「シバの女王の到着」、カルダーラのシンフォニア へ短調(オラトリオ「アベルの死」)のほうに心惹かれたのだった。
| 固定リンク
「音楽」カテゴリの記事
- 新国立劇場「イタリアのトルコ人」 演出の工夫に感心!(2026.10.07)
- カルテット・アマービレ&今井信子のブラームスの感動!(2026.10.06)
- 濱田芳通&アントネッロの「マタイ受難曲」 ドラマティックな人間ドラマ・群衆ドラマ!(2026.10.04)
- オペラ映像「ラ・ボエーム」「ナブッコ」「ドン・パスクヮーレ」「ばらの騎士」(2026.09.24)
- サーナ・テクセレの「メサイア」 加耒徹は指揮者としても素晴らしかった!(2026.09.22)

コメント