小泉+都響の「冬の日の幻想」 第二楽章が美しかった!
2019年2月9日、サントリーホールで東京都交響楽団の演奏を聴いた。指揮は小泉和裕。曲目は前半に川久保賜紀が加わってシベリウスのヴァイオリン協奏曲、後半にチャイコフスキーの交響曲第1番「冬の日の幻想」。
シベリウスの協奏曲については、私はあまり感銘を受けなかった。川久保のヴァイオリンはとても気品にあふれ、音の処理が素晴らしい。が、きれいに鳴らすことに神経を向けすぎて平板になってしまい、ダイナミズムに欠ける気がした。とりわけ第1楽章はもっと情熱的に盛り上げてよいと思うのだが、川久保はずっと抒情的に美しく奏でる。きっとこのようにシベリウスを捉えているのだと思うが、そうなると、音楽が立体的に構成されなくなってしまうと私は思う。また、ほんのちょっとの間だったが、少し音程が怪しくなったところがあったような気がしたのだが、私の耳のせいだろうか。
チャイコフスキーのほうは、とてもよい演奏だったと思う。マエストロ小泉らしく、けっして大袈裟にならず、しっかりと音楽を作り上げていく。ひたひたと盛り上がっていき、納得のゆくドラマになる。都響の音もアンサンブルが美しく、弦楽器の柔らかさが見事。最後にはチャイコフスキーらしく抒情が爆発する。
ただ、チャイコフスキー好きではない私にしてみると、この若書きの交響曲は、やはりちょっと曲そのものが物足りない。実演を聴くのは初めてだと思う(録音はもちろん何度か聴いている)が、作りの単純さが気になってしまう。ただ、第二楽章のメロディはとても美しい。この部分の都響はとりわけ美しかった。今日の演奏は、物足りなさの残る曲のわりに素晴らしい演奏だったといえるだろう。
雪の予報だったが、幸い、昼間のコンサートが終わっても、雪はちらつく程度だった。その後、天気予報が訂正されたようで、大雪にはならない模様。明日もコンサートに出かける予定なので、このまま雪にならないでほしい!
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