イブラギモヴァ&ティベルギアンのブラームス 魂が震えた!
2019年横浜みなとみらい小ホールでアリーナ・イブラギモヴァとセドリック・ティベルギアンによるブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会を聴いた。素晴らしい演奏だった。魂が震えた。
一昨日、さいたま芸術劇場で聴いたシューマンと同じようなアプローチだと思う。誇張せず、過度な抒情を排して、楽譜そのものを再現しようとしている。が、私自身がシューマンよりもブラームスのほうがずっと好きなためなのか、あるいはシューマンのソナタよりもブラームスのソナタのほうが名曲であるためなのか、あるいはまた二人の演奏がブラームスのほうに向いていたのか。これらのどれなのかはわからないが、一昨日は少し欲求不満に思った私も今日は心の底から感動し、二人の音楽に酔いしれた。
実に鮮烈にして繊細。イブラギモヴァのヴァイオリンの音は音程がよく、透明で美しい。しかもスケールが大きく、魂をゆすぶる。表現が多彩で、フレーズによる音色の変化がとても微妙。少しも誇張していないのに、音が魂を揺り動かす。そして、ティベルギアンのピアノの何と美しいこと。繊細でしなやかで、時々はっとするほどの新鮮な響きがする。しかも二人の息がぴったり。音楽観も似ているのだと思う。
前半は抑え気味。だんだんとブラームスの抑制的でありながら、ロマンティックな心を秘めた世界を形作っていく。そして、後半の第3番で最大限に盛り上がる。第一楽章からスケール大きく、しなやかに演奏。音楽の構成も明確、しかもすべてが自然でクリアで鮮烈。テクニックも最高。いうことなし。理想的な第3番のソナタだった。私は昔、オイストラフとリヒテルのとてつもない第3番の演奏をレコードで聴いて感動に震えていた。それとはまったく違うタイプの演奏。昔のソ連の巨匠たちに比べると、ずっと現代的でずっと洗練されている。そして、確かにずっと小粒でずっとおとなしい。だが、私は同じくらいに感動した。とりわけ第3番のソナタには何度も魂が震えた。
アンコールはクララ・シューマンのロマンスだとのこと。しみじみとよかった。
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