ハーディング+マーラー・チェンバーのモーツァルト 魂が震えた!
2019年3月14日、東京オペラシティコンサートホールで、ダニエル・ハーディング指揮、マーラー・チェンバー・オーケストラの演奏を聴いた。曲目はモーツァルトの交響曲第39番、40番、41番「ジュピター」。素晴らしかった! 興奮した。魂が震えた。
まずオーケストラが素晴らしい。なんと豊かで繊細な音だろう。あまりヴィブラートをかけないピリオド楽器風の奏法。それがきびきびして、本質を描くかのように美しい。そして、弦楽器もさることながら、管楽器に驚嘆。とりわけ、クラリネットとファゴットの美しさに聞き惚れた。アンサンブルも美しく、ハーディングの指揮にぴたりとついて見事。金管楽器もいい。
そして、ハーディングの指揮ぶりにも驚嘆。ちょっとベートーヴェン的なモーツァルトといえるかもしれない。一気呵成というのではなく、遅めのテンポで一つ一つのフレーズの意味を明確にしながらドラマティックに音楽を構築していく。だが、それぞれの音楽の表情に説得力があるので、少しも不自然ではない。第39番のスケールの大きな演奏に驚いたのだったが、そのまま手を休めずに、第40番に入った。
第40番が一番良かった。壮絶といえるような第1楽章だった。哀しみをたたきつける。ドラマティックに心をえぐる。だが、ここでもまったく無駄がなく論理的に音楽が進んでいくので、誇張を感じない。
第4楽章にいたっては、まるでベートーヴェンの「運命が扉をたたく」という言葉を思い出した。ただし、ベートーヴェンと違って、「タタタ・ター」ではなく「ドン・ドン」と戸をたたく。それを強烈に響き渡った。壮絶な第4楽章だった。
「ジュピター」もよかった。第39番、40番と同じようにフレーズの表情を克明に描いて構築していく。あれこれいじっているといえばいじっているのだが、むしろ「なるほど、モーツァルトはこのようにこの曲を書いているのか!」と思わせるだけの説得力がある。そして、第4楽章に入って爆発。音の饗宴になり、音楽の世界が宇宙に広まっていく。
私はモーツァルト・マニアではないので、それほどたくさんのモーツァルトの交響曲の実演を聴いたわけではない。実演は40番でもせいぜい20回くらいしか聴いていないと思う。だから、大きなことは言えないが、今回の演奏は私がこれまで聴いたこの曲の演奏で圧倒的に最高の出来栄えだった。第40番ではとりわけ魂が震えた。第1楽章では涙が出てきた。
ハーディングは間違いなく世界の巨匠だと思った。
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