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新国立「ウェルテル」 藤村実穂子の素晴らしいシャルロット!

 2019年3月21日、新国立劇場で「ウェルテル」をみた。この演出は数年前に見たので、これで二度目だが、今回は演奏が前回以上に素晴らしかった。ウェルテル役のサイミール・ピルグを除いて、歌手陣は全員が日本人だが、世界的レベルといってよいのではないか。
 やはりピルグとシャルロットを歌う藤村実穂子の二人が圧倒的に素晴らしい。最終幕の二人で歌う場面はまさに圧巻。
 藤村さんの歌はこれまでクンドリやフリッカ、オクタヴィアン、そして第九のソロを聴いた記憶がある。私は何となくドイツものを歌う人だとばかり思っていた。が、フランス語のシャルロットを聴いて、ドイツもの以上に素晴らしいと思った。発音は完璧。声も通るし、清楚で美しいシャルロットを見事に歌う。藤村さんのフランス物をもっと見たくなった。
 ピルグもよく通る美声。多感な青年と美しい人妻の心の揺れが見事に伝わる。ちょっとワーグナー的だが、フランス語なのでもっと洗練された響きになり、もっと内向的になる。
 ほかの歌手陣もよかった。ソフィーは幸田浩子。美しい声でまさにチャーミング。ただ少女というよりも色気があって女っぽい。その点で少し違和感を持ったが、もちろんこんなソフィーもいい。アルベールは黒田博。しっかりと歌って見事。大法官の伊藤貴之もとてもしっかりした歌。まったく穴がなかった。
 指揮はポール・ダニエル。初めて聴いたが、とてもいい指揮者だと思った。ドイツ音楽的、イタリア音楽的に盛り上げるのではなく、フランス音楽にふさわしいしなやかで抑制的な盛り上げ方。第一幕はあまりに抑制的で少々眠くなったが、私はこのような始まりのほうが好きだ。だんだんとドラマの世界に観客を入り込ませて、ドラマを作っていく。響きも美しいし、音そのものはとても芯が強い。東京交響楽団もとてもきれいな音だった。このような演奏で聴くと、マスネの良さがよくである。ワーグナーの亜流という感じがしない。この人の指揮で「ペレアスとメリザンド」などのフランスオペラを見てみたい。
 ニコラ・ジョエルの演出はきわめて穏当。ゲーテの時代のヨーロッパの風景なのだろう。じわじわと二人の主人公にドラマを集中していく。
もっと書きたいが、これまでだましだまし使っていたパソコンがついに我慢できないほどいうことを聞かなくなった。あまりに重くなり、しばしは反応せず、しばしば開始するためのパスワードを打ち込む枠(専門用語で何というのか知らない)が出てこない。これでは恐ろしくて使っていられないので新しいものを購入。今のパソコンはかなり便利になったとはいえ、設定にやはりそれなりの時間がかかった。明日は朝7時ころに出かけなければならない。そんなわけで、ブログを書くのはこのくらいにする。

 

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コメント

昨日、ウェルテルに感動して、検索していたら、当然のことですが樋口先生のブログに行き当たりました。
最初に、オーケストラの音に今日はいい感じと思い、あとは舞台も歌手も、書かれている通り、すべて良かったですね。ポール・ダニエルさん、カーテンコールに出てきた姿を見て、さらに感動、すっかりフアンになりました。
新国立劇場、近年屈指の良い作品だったと思います。
そして、川久保賜紀&小菅優のコンサートにもいらしたのですね。またびっくりでした。先生の優しさのあるコメントに納得。
私は明日から3日間チェロ続きですが、またそのうちどこかでお会いしそうです。

投稿: 中島 | 2019年3月27日 (水) 08時43分

中島様
コメント、ありがとうございます。
ポール・ダニエル、本当に良い指揮者だと思います。私も今回の公演は近年で最高のレベルだと思ったのでした。この指揮者のフランス・オペラ、そしてラヴェルなどのオーケストラ曲も是非聴きたいと思います。また、そのうちお会いするでしょうね。

投稿: 樋口裕一 | 2019年3月29日 (金) 07時26分

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