カルテット・アマービレ 若き弦楽四重奏団のベートーヴェンに感銘を受けた
2019年3月23日、王子ホールでカルテット・アマービレのコンサートを聴いた。曲目は前半にモーツァルトの弦楽四重奏曲第14番「春」とウェーベルンの弦楽四重奏のための5つの楽章作品5。後半にベートーヴェンの弦楽四重奏曲第8番「ラズモフスキー第2番」。「春」にまつわる曲を集めたとのこと。
カルテット・アマービレは若い日本人演奏家たちによる弦楽四重奏団。2016年に結成され、アルゲリチとも共演して話題になっている。
最初のモーツァルトを聴いた時点では、前半で帰ろうかと思った。くっきりとしてきれいなアンサンブルなのだが、ずっと一本調子。本人たちは楽しげに、のどかに演奏しているようだが、メリハリがなく、曲想の変化がない。聴いていて退屈だった。第4楽章になって少し活気が出てきたが、燃焼しないまま終わった。が、次のウェーベルンはかなり鮮烈な音。アンサンブルはいいし、音程は確かだし、くっきりとして強い音がびしりと決まる。後半も聴いてみようという気になった。
そして、後半。初めの音からモーツァルトとは大違い。強い音で激しくベートーヴェンの精神を描き出す。アンサンブルがいいので、緊張感が緩まない。リズム感もよく、かなりダイナミック。音程がいいので、各楽器の重なりが見事に決まる。徐々に盛り上がって、第4楽章は圧巻だった。モーツァルトのような抒情的な音楽よりも、もっと切れの良い現代的な音楽に合うアンサンブルだと思った。
アンコールはピアソラの「ブエノスアイレスの四季」より「春」。これも素晴らしかった。ピアソラ特有の躍動感があり、現代性があり、しなやかさがある。
モーツァルトとウェーベルンとベートーヴェンとピアソラ。それぞれ個性の異なる作曲家を選んで、言ってみれば「私たちはこんなにどんな演奏でもできるんですよ」というような主張をする選曲。それよりも、私としてはベートーヴェンをじっくりと聴いてみたかった。いずれにせよ、とてもこれからが楽しみな団体だ。
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