新国立劇場オペラ研修所修了公演「ドン・ジョヴァンニ」 今年も楽しんだ
2019年3月10日、新国立劇場中劇場で、新国立劇場オペラ研修所修了公演「ドン・ジョヴァンニ」をみた。
私は数年前から研修所公演を毎年楽しみにしている。未来のスターたちを見るチャンスだというだけでなく、とても高レベルのオペラを見せてくれるのがうれしい。今回も十分に楽しませてもらった。
まず、河原忠之の指揮による新国立アカデミーアンサンブルが安定している。新人歌手たちをリードするという大事な役割を果たしながら音楽性を発揮するというとても難しい役割を見事に果たしているのが、私のような素人にもよくわかった。第一幕はかなりぎこちなかったが、第二幕になってからは音楽が自由になり、徐々にドラマが高まった。後半、素晴らしいところがたびたびあった。粟國淳の演出はきわめてオーソドックスで手慣れた感じ。新人たちの講演ではそれがもっとも大事なことだ。
歌手陣の中で私がもっとも心惹かれたのはドンナ・アンナを歌った平野柚香だった。音程の良いきれいな声で、第二幕のアリアはとてもドラマティックだった。ドンナ・エルヴィーラの十合翔子も最初のうちこそ硬かったが、徐々に調子を上げて、第二幕のアリアはとてもよかった。ツェルリーナの斉藤真歩は、魅力的な動きをしていたが、音程の不安定さを感じた。
男声陣についていえば、ドン・ジョヴァンニの高橋正尚は気品ある声なのだが、この役を歌うにはもっと余裕がほしいと思った。いかにも必死の感じでぎこちなさが最後まで消えなかった。レポレッロの伊良波良真ももう少し余裕がほしいと思った。余裕がないと、笑いが生まれないし、声の美しさも聞こえてこない。マゼットを歌う井上大聞は純朴な感じが出ていてとても好感を持った。ドン・オッターヴィオの水野優は音程が不安定で、かなり苦しい歌いっぷりに思えた。騎士長の松中哲平はとても見事な歌。さすがだと思った。
ただやはりモーツァルトはむずかしい。ちょっとしたことで音楽の流れが悪くなってしまう。しかも、特にモーツァルト・マニアというわけではない私も、「ドン・ジョヴァンニ」は実演、録画、録音を含めると、きっと100回くらいは聴いている。どうしても、これまでの名演と比べてしまう。新人たちの歌に、しばしば音楽の停滞を感じたのも事実だった。
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