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望月哲也+松尾俊介のシューベルト歌曲集リハーサル もっと聴きたかった!

 20194月6日、HAKUJUHALLでの望月哲也(テノール)+松尾俊介(ギター)の「白鳥の歌」を中心としたシューベルト歌曲のリサイタル。聴くのを楽しみにして、私が「水先案内人」の一人として担当しているWEB版「ぴあ」のコーナーでも取り上げていた。ところが、突然、仕事上のトラブルが起こって、ちょうどコンサートの時間帯にほかの場所で人と会わなければならなくなった。無理を言ってリハーサルをのぞかせていただいた。望月さん、松尾さん、そして関係者の皆様、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

 望月哲也の実演はかなり聴かせてもらっている。常に安定した素晴らしい歌。松尾俊介についても驚くべきテクニックと繊細な音を何度も聴いてきた。望月さんのシューベルトをギター演奏で歌うという企画にはずっと惹かれていたが、今回松尾さんが伴奏とあってはぜひ聴かないわけにはいかないと思ったのだった。

 まだリハーサルの段階だったので、本番では一層全開されるのだろう。が、リハーサルを聴いても素晴らしかった。望月さんのシューベルトはとても丁寧。声を張り上げるのではなく、静かに語るように歌い上げる。それを支える松尾さんのギターもとても繊細でしなやか。

 ギター伴奏は、シューベルトの世界にぴったりだと思う。親密な空間で作曲を続け、小さな場所で演奏された本来のシューベルトの味わいが伝わる。仲間が集まって、心の内を音楽に託して打ち明ける、そんな味わいがある。

 とりわけ「白鳥の歌」はシューベルトが歌曲集として編んだわけではなく、死後に遺稿が集められたもの。しかも、今回のコンサートはそのほかにも有名なシューベルトの歌曲が歌われる。だからこそギター伴奏が生きる。ピアノで取り澄まして演奏すると、脈絡がなくなるが、ギター伴奏によると親密感が出て、音楽の連なりも自然になる。

  二人の演奏は実にしみじみとしていてよかった。ただ実をいうと、「魔王」については、これをギターで弾くと迫力不足になると思った。三連符の迫力はやはりピアノのものだと思った。それ以外は、「野ばら」も、「白鳥の歌」の中のいくつもの曲も素晴らしかった。ロマンティックにしすぎず、悲劇的にもしすぎず、さらりと語るように歌いながら、そこにシューベルトの哀しみと孤独が浮かび上がる。そのような演奏だった。

 もっと聴きたかった。いや、本番を聴きたかった! が、時間切れになって電車であわてて次の待ち合わせの場所に向かった。ぎりぎりで間に合った。

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