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東京・春・音楽祭、「さまよえるオランダ人」 素晴らしい演奏に魂が震えた!

 201945日、東京文化会館で東京・春・音楽祭、「さまよえるオランダ人」の演奏会形式による演奏を聴いた。背景に海や部屋の映像が映る。余計な演出がないだけに音楽に集中できた。素晴らしい演奏だった。魂が震えた。

 なんといってもオランダ人を歌うブリン・ターフェルが凄まじい。声の威力、声の演技力、存在感、すべてにおいて圧倒的。まさしく呪われたオランダ人の魔力を持っている。エリックのペーター・ザイフェルトもさすがの歌。自在に歌い、声が伸びる。世界の超一流が演奏会形式で歌うとこれほどまでにすごいのかと改めて思う。私はこの二人の実演を聴いたことがあるはずだが、これほど感銘を受けたのは初めてだった。

 ゼンタを歌うのはリカルダ・メルベート。私はこれの歌手は何度か聴いているが、さすがの歌唱。第二幕のバラードはちょっと抑え気味に思えたが、第三幕の最後は素晴らしかった。声が美しくて張りがある。マリーのアウラ・ ツワロフスカもしっかりと歌っているし、舵手のコスミン・イフリムも、ちょっと低音がかすれることがあったが、全体的にはとてもよかった。

 ダーラントはアイン・アンガーが予定されていたが、イェンス=エリック・オースボーに変更。若い歌手のようだ。ちょっと不安定なところがあったが、これほど歌ってくれれば十分。第一幕はとりわけ見事だった。トーマス・ラングと宮松重紀の合唱指揮による東京オペラシンガーズも素晴らしかった。

 管弦楽はNHK交響楽団、コンサート・マスターはキュッヒル。指揮はダーヴィト・アフカム。インド系の若手指揮者ということで話題になっているらしい。初めのうちは硬い感じだったが、だんだんとしなやかさが増していった。第二幕の糸紡ぎの合唱はとても美しかった。このあたりから徐々にドラマティックになって、ワーグナーらしい音楽になっていった。第3幕はオーケストラも最高に鳴り響き、素晴らしい音楽世界が展開された。

 ワーグナーの音楽を満喫。「さまよえるオランダ人」はちょっと物足りないと思っていたが、実演を聴くと、やはり感動する。

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コメント

私も5日に聞きました。オランダ人ごときでこれほど感動するとは思いもしませんでした。世界の超一流の歌手たちの凄さに、ただただ圧倒されました。
アインアンガーが来られなくなって残念に思っていましたが、急な代役でもこれだけの人がいるのですから、世界は広いです。またエリックを歌ったザイフェルトなど、もったいないくらいな配役です。その中にあってターフェルの存在感はすばらしかったです。幕切れで舞台上手から姿を現し、ゼンタを手招きするところなど、そこでは一声も発していないし、また演奏会形式で特に演出らしい演出もないなかで、あれほどの感動を導くというのも驚きです。
それにしても、フル編成のオーケストラと同じ舞台にいて、声がオケを圧して聞こえてくるというのはすごいことだと思いました。
アフカムもN響からすばらしく艶やかな音を弾きだしていたと思います。これはキュッヘルさんの影響もあるのかな。
最後のスタンディングオベーションも感動を盛り上げてくれました。

先生も来られているかなと休憩のときロビーをうろつきましたが、わかりませんでした。いつか会場でお目にかかる機会があれば、話かけていいですか。

投稿: ル・コンシェ | 2019年4月 8日 (月) 10時27分

ル・コンシェ 様
コメント、ありがとうございます。おっしゃる通り、第三幕幕切れのゼンタを呼び寄せるときのターフェルの魔的な動きは素晴らしかったですね。そして、オーケストラがまったく加減していないのに、声がそれにまったく負けないのも、ふつうでは信じられないことです。感動的な演奏でした。よろしかったら、そのうち声をおかけください。

投稿: 樋口裕一 | 2019年4月10日 (水) 07時53分

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