プラッソン指揮 「エロディアード」 とてもフランス的なオーケストラの音!
2019年4月28日、オーチャードホールで東京二期会コンチェルタンテ・シリーズ、マスネ作曲「エロディアード」(セミ・ステージ形式)を聴いた。
プラソン指揮のCDを持っているし、もちろん何度か聴いたことがあるが、実演は初めて。とてもきれいな曲だと思ったが、同時に、確かにシュトラウスの「サロメ」に比べると魅力不足だとも思った。うっとりするほど美しい音響はあるのだが、ドラマ的な盛り上がりに欠ける。ストーリー的にも、エロディアードにもサロメにも屈折したところがなく、音楽によって屈折が描かれるわけでもなく、少々物足りない。やはり、これでは上演機会があまりないのも原因あってのことだと納得できる。
ミシェル・プラッソン指揮の東京フィルハーモニー交響楽団はとてもよかった。東フィルからこんな精妙な音が出るのか!と改めて驚くほど、まさにフランス的な音。しなやかでとてもよかった。さすがプラッソン。1933年生まれというから、85歳を超えている。若いと思っていたプラソンもそんな歳になっていた!足取りは危なっかしいが、音楽は生き生きとしている。
歌手陣もそろっていた。エロディアードの池田香織はその役にふさわしい迫力ある歌唱、サロメの國光ともこもまた、その役にふさわしい可憐で清純な歌唱。そのほか、エロデの桝貴志、ファニュエルの北川辰彦、ヴィテリウスの藪内俊弥、大祭司の水島正樹もとてもしっかりした声。
ただ、そうは言いながら、実はフランス語らしくないのを感じないわけにはいかなかった。日本人の歌うフランスもののオペラを聴くといつも思うのだが、どうしてもフランス語らしく聞こえない。二期会合唱団も、きれいな合唱なのだが、何を言っているのか全く聞き取れなかった。そのために、ニュアンスが伝わらない。
その点、ジャンを歌った渡邉公威は私にはとてもきれいなフランス語に聞こえた。音程もしっかりしているし、芯の強い美声。とてもいい歌手だと思う。最後の、サロメとの二重唱は見事だった。
平成最後の連休とあって、オーチャードホール周辺は大混雑だった。10連休だが、私自身はというと、原稿などの仕事があるので、普段と変わらない。
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コメント
やはり素晴らしかったですか。昨年5月に新日本フィルに客演し、ドビュッシーとフランクで、とんでもないくらいの超名演をしていたので、この公演も行きたかったのですが。
今年9月に、新日本フィルに再び登場する予定なので楽しみです。
投稿: かきのたね | 2019年5月 2日 (木) 13時12分