ハーガー+新日フィルの「スコットランド」はちょっと退屈だった
レオポルド・ハーガー。実に懐かしい名前だ。30年以上前、CDを何枚か聴いていた記憶がある。特に好きな指揮者というわけではなかったが、久しぶりにその名前を新日フィルの定期演奏会のチラシに見つけて、聴きたくなった。そして、今日(2019年4月11日)、サントリーホールで聴いたのだった。曲目は前半にメンデルスゾーンの交響曲第3番「スコットランド」、後半にドヴォルザークの交響曲第8番。
前半のメンデルスゾーンは少々退屈だった。「スコットランド」は私の大好きな曲だ。1970年代だったかドホナーニ指揮、ウィーンフィルのCDを聴いてから、この曲の魅力に取りつかれ、それ以降、この曲のCDが発売されるたびに購入して聴いていた。が、ハーガーの指揮は、誠実でしっかりした音楽づくりなのだが、形式感が希薄で、行き当たりばったりな感じがして、私には受け入れがたかった。緊密に構成され、その中に生き生きとした感性や悲しみ、喜びが息づいているこの曲が、しまりのない、部分部分が妙に強調された音楽になっていた。ハーガーという人、形式を重視する人ではなく、かなりロマンティックな盛り上がりを作るタイプの人のようだ。私の好きなメンデルスゾーンではない。
後半のドヴォルザークはそれに比べればずっと良かった。ドヴォルザーク特有の美しいメロディが浮かび上がるし、木管楽器の美しさが際立つ。自然に盛り上がる。終楽章はとても情熱的になった。新日フィルも本領発揮。
ただ、この曲についても、私はやはり形式感の弱さを感じた。もともとこの曲は構成が弱い気がするのだが、ハーガーの指揮は部分と部分が緊密に構成されない気がしてしまう。素人なので説明はできないのだが、なんだかしっくりこない。びしりびしりと決まらない。そんなわけで、心から感動するというわけにはいかなかった。
昨日は冬の寒さだったが、今日はかなり暖かくなった。そのつもりで薄着していったら、帰りは寒くなった。
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コメント
自分もかなり似た印象でした。特に前半は、初共演ということもあるのか、妙な手探り感があって、「形」に行くのか「流れ」に行くのか、なんとも煮え切らない演奏だったように感じました。
それが余計「形式感が希薄で、行き当たりばったりな感じがして、私には受け入れがたかった」と受け取られた原因なのかもしません。
次回このオケと再度共演したらまた違った感じの演奏になるような気がしました。
投稿: かきのたね | 2019年5月 2日 (木) 13時29分
かきのたね様
コメントありがとうございます。おっしゃる通りかもしれません。次回機会があったら、聴いてみたいと思います。
投稿: 樋口裕一 | 2019年5月 5日 (日) 08時42分