ネーメ・ヤルヴィ+N響 肩の力を抜いたブラームス
2019年5月17日、NHKホールでNHK交響楽団定期演奏会を聴いた。指揮はネーメ・ヤルヴィ。曲目は前半にシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」とトゥビンの交響曲第5番、後半にブラームスの交響曲第4番。
ネーメ・ヤルヴィの実演を聴くのは、たぶん4回目くらい。だが、かつてCDはかなり聴いた。老練で余裕のある演奏に惹かれる。そんなわけでかなり期待して出かけた。
前半はとてもよかった。シベリウスもトゥビンもまったく知らない曲だが、響きはとても美しく、とても面白く聴けた。
ブラームスも決して悪いとは思わない。息子パーヴォのようにエキサイティングに演奏するわけではない。ムキにならず、煽ることもなく、もちろん人と違ったことをあえてするでもなく、慣れた手つきで肩の力を抜いた音楽を進めていく。「ムキにならなくたって、ふつうにやれば、名曲はちゃんと素晴らしい音楽になるんだよ」と言いたげ。細かいところで小さな工夫はしているようだが、ともあれ平穏に、力まず焦らずに進んでいく。
だが、それだけで終わった気がする。オーケストラにも集中力が感じられなかった。第一楽章で大きくホルンが外したし、そのほかの部分でも音楽に勢いがなかった。このような音楽をネーメ・ヤルヴィは望んだのだろうか。高齢になって、淡白になってしまったのだろうか。
これまで私が聴いたネーメ・ヤルヴィの演奏は、もっと趣きがあり、勢いがあり、不思議な色気があった。今日ももっと趣きのあるブラームスを期待していたのだったが、ちょっと残念だった。
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